人生に悩んだら「響け!ユーフォニアム」を見たらいい
先日加入したU-NEXTで色々な作品を見ているのですが、おっさんは前から見たかった「響け!ユーフォニアム」というアニメ作品を見ました。
高校の吹奏楽部のアニメです。おっさんも昔吹奏楽部でした。
ちょっとだけ見るはずでした。しかし、気がついたら全13話をぶっ通しで見て、朝になっていました。
これ、非常によくできた「人生の教科書」だったんですよ。
「響け!ユーフォニアム」の主人公「久美子」は高校へ進学します。小学生の頃からユーフォニアムを演奏していた彼女は、自分の持つ演奏能力を発揮することに、苦手意識を持っています。
中学時代に自分より偉い「先輩」に、妬みから否定された経験があるからです。防衛反応です。人間関係で恐怖を感じたのです。
当然、高校に入って吹奏楽部に入ることにはためらいがあります。友人らの後押しもあり入部することにしても、得意なユーフォニアムを捨て、新しい楽器をやるという「自己防衛」を考えます。
対して、中学時代の同級生、吹奏楽仲間であり、プロのトランペット奏者の娘である「麗奈」は、ただひたすらに、貪欲に、自分の夢に向かって邁進していきます。先輩と衝突しようとも、一切の妥協を行いません。完全に攻めの姿勢です。
久美子はかつて、麗奈に対し「本気で全国に行けると思ってたの?」と言ってしまったことを悔やんでいます。その冷めた、どことなく無気力なそのふるまい。それもまた、目立たないように、角をたてず攻撃対象にされないようにする守りの姿勢なのです。
久美子はその一件から、麗奈に対しても苦手意識がありましたが、「下手なのが悪い」「特別な存在になる」という麗奈の覚悟に、強さや美しさを見出して感化されていきます。
このシーンを見て、ディズニーアニメの「アナと雪の女王」の劇中歌「Let it Go」を思い出しました。「自分の能力を隠さずに、解き放て」という意味の歌です。
日本語版では「ありのままで」になりましたが、ありのままというのは「強いものは強くあれ」ということだと思います。能ある鷹は爪を隠すと言いますが、爪を折ってしまっては生きていけません。
「自分の能力を発揮すると、周りの人が傷つくかもしれない」
ちょっと得意なことがある人にとっては大きなジレンマです。
そこを痛快に「いいんだ、全力でやってしまえ!」という。
自分の能力を出し切ることをカタルシスとして描く背景には、複雑な人間関係から解き放たれたい、自由になりたいという人間の渇望を感じさせられます。
「狭いところで生き抜く」
最近流行っているアニメといえば、先日紹介した「けものフレンズ」です。フレンズたちは広大な「ジャパリパーク」の中で、自分たちの得意なことを活かして生きています。
しかし本物のジャングルは危険がいっぱい。
動物は本来、脅威に出会った時に3つの選択肢を持っています。
- 戦う
- 逃げる
- 固まる
この3つです。そして、基本は逃げることです。逃げないと食べられてしまうかもしれませんから。
勝てそうな相手、守らなければならない相手があるとき、初めて戦うのです。そして、どうしようもない時には、恐怖で固まって動かなくなります。動かないことは敵からの注意をそらすための生存戦略と言われています。
フレンズたちは、怖かったら逃げればいいので、お互いを認められるのかもしれません。常に安全なマージンを保つのは野生の掟です。
対して「響け!ユーフォニアム」は、部活動をテーマにした作品です。
学校の部活動はジャパリパークに比べれば、非常にクローズドな世界です。
誤解を恐れずに言うならば、学校教育とは、まさに逃げ場のない檻の中で生き抜く術を学ぶ場です。自分のテリトリーを脅かす敵から身を守るために、距離を置くことを許しません。
皆さんは、学校でこう教わりませんでしたか?
「話し合って解決しなさい」
そう、学校で「危ない時には逃げなさい」というメッセージを教わることは、変質者と出会ったときの対処法くらいです。他はすべて、立ち向かうことしか教えません。
だから、吹奏楽部の彼女たちも「戦うか、固まる」しかないのです。
この点では、学校はただでさえ「軍隊」のようなものなのだと痛感させられます。
「降りる」ことの大切さ
部活モノの作品では、部活動を去る者を描くことによって、部活の意義を再考させます。
「響け!ユーフォニアム」では、久美子の先輩であり、幼馴染でもある「葵」は、演奏内容を顧問に指摘され、「いつまでにできるようになりますか?」と問われます。
そして答えられずにそのまま、受験勉強に打ち込むという理由で退部します。
久美子らに対し「いい加減な気持ちで続けていたら迷惑になる」と語った彼女。その言葉すら、本当かどうかはわかりません。おっさんは、逃げたのだと思っています。
そう、「逃げる」「勝負から降りる」という選択こそが、本来私達が決して忘れてはならない生存戦略の一つなのです。
戦っても勝てない時、より勝算のありそうな方へ賭ける。
葵は、自分の存在意義をより見いだせる受験を選ぶことに、時間という掛け金を移したのです。
私たちは誰もが同じテーブルで勝負する必要はないのですから。
「悔しくて死にそう」
全力で人と闘い、敗れる。
声を上げて泣くほどに強烈でショッキングなその体験は、決して気持ちのいいものではありません。
しかし、全力敗北の経験を早くにした人と、本気の勝負をしたことがない人では、やはりメンタルの強さが異なるのは事実です。だからこそ、親は子供達を競争経験させたいのです。
アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏は、若い頃にニューヨーク陸軍士官学校という、軍隊式の学校に通わされていました。彼は今見る通り「やんちゃ」でしたので。
そして、著書にてその頃の「服従する経験」の大切さを語っていました。
彼はミリタリースクールで、どうやってもかなわない「鬼軍曹」とどのように付き合うかを学んだのです。
引き下がるのはいやだ…そこで私は、相手を自分の味方につける方法を見つけようとした。(中略) 彼はコーチだった。私には、自分が実力を出し切ってプレーをすれば、コーチの評判を上げてやれることがわかっていた。私はそれを実行した。チームはすばらしかったし、私はそのチームを効果的に引っ張っていく方法を学んだ。(中略) つまり、私たち二人は、弱みにつけ込むのではなく強さをぶつけ合うことで、互いに尊敬できる関係を築き上げた。(中略) 私たちは一方が勝利を収めるのではなく両方が勝った。
―「あなたに金持ちになって欲しい」 より
私たちは勝ち目のない相手と競わなければならない時があります。そして負けた時にこそ、冷静さや強かさといった、生きていくための小さな種を得るのです。
麗奈や久美子は吹奏楽の大会や楽器パート内の選抜に負け「悔しくて死にそう」という体験をします。
大人になってもやはり、全力で勝負する時には「死にそうなほど悔しい」ということはあるものです。人に出し抜かれたり、騙されたり、まるで自分が無知だったり。おっさんもたくさんあります。
しかし、負けてどん底の気持ちからの回復は、経験を重ねるごとにどんどん早くなっていきます。だからこそ、苦難は体験しなければならないのでしょう。
部活とは「生存競争」である
物語の終結に至るまでの描写は非常に生々しく、リアルな競争や嫉妬を描いた作品だと思いました。
いえ、競争と言ったら生易しい。彼女たちはまさに生存競争の真っ只中なのです。
自分のアイデンティティが脅かされる。誰が一番なのか。それを突きつけられる。
学生を終えて就職しても、営業成績などで競い合う世界に身を置くことは代わりありません。
「人間の世界をどう生き抜くか」
まさに人生を改めて考えさせられるアニメ。
それが「響け!ユーフォニアム」なのです。
U-Nextなら31日間無料で「響け!ユーフォニアム」が見られます。
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