raytrek XFレビュー。RTX 3070搭載クリエイターPCはゲームもバッチリ
2022/07/10
サードウェーブのGeForce RTX3070搭載PC「raytrek XF」をレビューします。
サードウェーブのPCといえば、ゲーミングPCブランドの「GALLERIA」が有名ですが、クリエイター向けラインナップである「raytrek」にもRTXシリーズを搭載したモデルがあります。
クリエイターPCとされていますが、ゲーミングPCとしても全く問題ない性能でした。
※2022/7/4 Apex Legendsのテスト時の設定は「低設定」と表記していましたが「高設定」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。
同クラスGALLERIAとの比較記事も書きましたので、当記事と併せてご覧いただくと特性がよく分かると思います。
Contents
raytrek XFのスペック
パーツ等 | 標準構成 |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル Core i7-12700 (2.10GHz-4.80GHz/12コア/20スレッド) |
CPUファン | 静音パックまんぞくコース (高性能CPUファンで静音化&冷却能力アップ) |
CPUグリス | ノーマルグリス |
グラフィック | NVIDIA GeForce RTX 3070 8GB (HDMI x1,DisplayPort x3) |
電源 | 750W 静音電源 (80PLUS GOLD) |
メモリ | 16GB DDR4 SDRAM (PC4-25600/8GBx2/2チャネル) |
SSD | 500GB NVMe SSD |
ハードディスク/SSD | なし |
光学ドライブ | なし |
サウンド | マザーボード 標準 オンボードHDサウンド |
ケース | LD ブラック(ATX) |
LAN | 2.5Gb 対応LANポート×1(オンボード) |
マザーボード | インテル H670 チップセット ATXマザーボード PCIe 4.0 x16 ×1 /PCIe 4.0 x16 ×1 /PCIe 3.0 x16 ×1 / PCIe 3.0 x1 ×2 DDR4対応メモリスロット ×4(最大128GB) SATA 6GB ×4 / M.2 slot ×3 (PCIe 4.0 x4 ×2 、PCIe 4.0 x4 & SATA modes ×1) |
入出力ポート | 前面:USB 3.0 x2 背面:USB 2.0 ×2 、USB 3.2 GEN1 ×3 、 USB 3.2 GEN2 Type-A ×2 、USB 3.2 GEN2 Type-C ×1 映像出力:HDMI ×1 、DisplayPort ×1 ※グラフィックボードを搭載しているモデルは、こちらの端子は使用しません。 |
キーボード | なし |
マウス | なし |
サイズ | 207(幅)×509(奥行き)×440(高さ) mm |
重量 | 約13kg |
持込修理保証 | 保証期間1年 |
価格 | 214,980円(税込) |
執筆時点の情報となるため、最新情報は製品ページでご確認ください。
レビューではサードウェーブさんからお借りしたWindows11 Pro版搭載のサンプル機を用いています。
raytrek XFの外観
raytrekはブラックの外観で落ち着いたデザインになっています。
サイドはCPU、GPU部分がメッシュ状になっており、空気を取り込めるようになっています。
フロント端子類
フロントの端子やドライブの構成は以下のとおりです。
- USB 3.2 Gen1 Type-A x2
- SDカードスロット x1
- microSDカードスロット x1
- DVDスーパーマルチドライブ (DVD±R DL 対応)
- オーディオIN x1
- オーディオOUT x1
背面端子
背面の端子は搭載されるマザーボードおよびグラフィックボードに依存します。
マザーボード端子類
raytrek XFではインテル H670 チップセットのATXマザーボードが搭載されます。
貸出機ではASUS PRIME H670-PLUS D4が搭載されていました。
標準構成での背面端子は以下のとおりです。
- USB 2.0 ×2
- USB 3.2 GEN1 Type-A ×3
- USB 3.2 GEN2 Type-A ×2
- USB 3.2 GEN2 Type-C ×1
- 2.5Gb イーサネット (有線LANポート)
- マザーボード 標準 オンボードHDサウンド
グラフィックボード端子類
グラフィックボードのポートの標準構成は以下のとおりです。
- DisplayPort x3
- HDMI x1
内部構造・パーツチェック
raytrek XFの内部をチェックしていきます。
CPUクーラー
CPUクーラーは120mmファンのDeepCool製サイドフロークーラー(空冷)が搭載されていました。
メモリ
メモリはDDR4-3200(PC4-25600)の16GB(8GBx2)が搭載されます。メモリ搭載量はゲームをするだけなら16GBで足りないことはありません。ただ、ブラウザで様々なサイトを開きつつマルチモニタでゲームをする、といった用途などでは、メモリ不足になる場合も考えられます。個人的には32GBへのカスタマイズ注文をおすすめします。
グラフィックボード
グラフィックボードはGeForce RTX 3070 8GBが搭載されます。
貸出機では2連ファンのASUS製GeForce RTX 3070が搭載されていました。2スロットモデルで比較的小型のため、グラフィックボードステーのリジッドカードサポートは付属しません。(グラフィックボードは入荷状況などによって搭載製品が異なる場合があります)
M.2 NVMe SSD
ストレージは500GBのM.2 NVMe SSDが搭載されます。
貸出機に搭載されていたM.2 NVMe SSDはPCIe 3.0のWD Blue SN570で、500GBとなっています。
M.2 NVMe SSDのベンチマーク
レビュー機に搭載されていたM.2 NVMe SSDのベンチマーク結果です。
PC自体はPCIe 4.0に対応しているモデルなので、注文画面でより高速なPCIe 4.0モデルにアップグレードして注文することも出来ます。
Windows11はNVMe SSDをより活用できる「DirectStorage」に対応し、ゲームの読み込み速度を更に上昇できる余地を残しています。将来を見越してより高速・大容量なモデルを選ぶ意味はあると思います。
また、貸出機のマザーボードでは合計3つのM.2スロットがありました。
3.5インチベイ (HDD)
HDDなどを設置できる3.5インチトレイが8つあります。HDDは標準搭載されませんが、注文画面で追加することが出来ます。
3.5インチトレイ類を外すと、前に2つの14cmケースファンが隠れているのが見えます。GALLERIAでは14cmファン1つなので、raytrekの方がエアフローが良いと考えられます。
2.5インチベイ (SSD)
ケースフロント部に3つの2.5インチベイがあります。SATA SSDを追加オーダーするとここに設置されます。
電源
電源は80PLUS GOLDの750Wが搭載されます。貸出機ではEnhance製のATX-3175GAが搭載されていました。ケーブルは直出し固定ケーブルです。電源容量はスペックに対して十分です。
ゲーミングPCとしての性能は?
搭載されるGeForce RTX 3070は、RTXシリーズの中でもミドルハイクラスのグラフィックボードです。
RTX 3090 Ti 24GB |
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RTX 3090 24GB |
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RTX 3080 Ti 112GB |
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RTX 3080 10GB |
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RTX 3070 Ti 8GB |
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RTX 3070 8GB |
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RTX 3060 Ti 8GB |
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RTX 3060 12GB |
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RTX 3050 8GB |
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GTX 1660 SUPER 6GB |
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GTX 1660 6GB |
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GTX 1650 4GB |
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GT 1030 2GB |
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RTXシリーズはレイトレーシング用のRTコアとDLSSを動かすためのTensorコアが搭載されている点で、GTXシリーズよりも重いゲームを快適に動かせる下地があります。また、OBS Studioで配信する際に、RTXグラフィックボードを使った高度なノイズ低減処理を行うことが出来るなどのメリットがあります。
ゲームの平均フレームレート(fps)
raytrek XFでテストを行った、ゲームの平均フレームレートを以下に示します。
「フレームレート(fps)」とは
1秒間に何コマ表示するかを「秒間フレームレート」と呼びます。単位は「fps」です。fpsが高いほど動きがなめらかに見え、内部処理速度も上がり、操作から画面表示までのラグが少ないです。
以下の動画は60fpsと30fpsの違いを示しています。30fpsの方がカクカク動いていて、ロゴの形がわかりづらく感じると思います。
一般的なモニタは60fpsまでを表示できますが、ゲーミング用ではこれよりなめらかな144fps、240fpsなどまで表示できるものがあります。
アクションゲームでは最低でも30fpsないと操作が難しく、60fpsあればまあまあで、FPSなどをプレイする場合は100fps以上あることが理想です。
フレームレートが高いことによるメリット
- 激しく画面を動かしていても対象がよく見える
- 3D酔いしにくい
- 敵を早く見つけられる
- 操作してから反応までの時間が短い
- ゲームによっては動作自体が速くなって有利
- マシン性能が高いことのあらわれなので、MODなどを追加する余裕がある など
アクション
アクションゲームは人気のエルデンリングと、モンスターハンターライズサンブレイク、Red Dead Redemption 2をチェック。
エルデンリングは60fps上限のタイトルとなっています。最高設定だと1920x1080、2560x1440で平均60fpsに到達。4Kは45fpsということでこのままでも遊べなくはないですが、60fpsを狙ってプレイするには少し設定を下げてプレイする必要があるでしょう。
モンスターハンターライズサンブレイクは1920x1080では平均144fpsを超えます。2560x1440までは120fpsオーバー、4Kも平均60fps前後で遊べそうです。
Red Dead Redemption 2では、2560x1440までは平均60fpsオーバーですが、4K60fpsを実現するには少し設定を下げる必要があります。
レイトレーシング利用ゲーム
光の反射や影の生成がリアルで重いゲーム「Watch Dogs Legion」と「Cyberpunk 2077」を動かしてみます。
どちらのタイトルでも、レイトレーシング最大&DLSSパフォーマンス設定で、1920x1080で平均60fpsは出すことが出来るので、十分レイトレーシング環境でゲームをプレイできます。4Kは平均30fpsほどになってしまうので、設定を下げた方が良いでしょう。
FPS
FPS(ファースト・パーソン・シューター)はフレームレートが重要です。
軽量なVALORANTは屋外射撃場で、画質は低設定にしてのテスト。360Hzモニタや240Hzモニタを活かせると思います。
APEX LEGENDSは混戦でエフェクトが沢山表示される時などを想定し、射撃訓練場でテルミットグレネードを投げまくる、描画負荷高めのテストを行いました。高設定で1920x1080で平均147fpsと、重いシーンでも144Hzモニタを活かせます。画質設定を低設定に下げれば更にフレームレートが上がります。
Battlefield 2042は128人コンクエでテスト。1920x1080なら平均115fps。2560x1440までほぼ変わらず、実用域だと思います。
レーシング・フライト
レースゲームは人気のAssetto CorsaとForza Horizon 5をチェック。
Assetto Corsaは2560x1440までなら最高設定で144Hzモニタを活かせます。4Kも60fpsを超えます。MODなどを追加してのゲームプレイも十分可能です。
Forza Horizon 5はレースゲームの中でも重いタイトルですが、エクストリーム設定のベンチマーク結果としては2560x1440まで60fps以上達成済みの評価です。4Kでも少し設定を落とすことで快適にプレイできるでしょう。
フライトシムのMicrosoft Flight Simulatorは、東京上空の負荷でもウルトラ設定で2560x1440までは60fpsを出せます。旅客機や小型機のフライトなら30fpsくらいでも十分楽しめるゲームなので、4Kでプレイするのもアリですね。
MMORPG
MMORPGは人気のFF14と黒い砂漠をチェック。
FF14はベンチマークを用いましたが、比較的軽いタイトルなので、2560x1440までは144Hzモニタを十分活かせる結果に。4Kも平均80fpsと、4K60fpsを実現できそうです。
黒い砂漠はリマスターモードで戦闘テストを行いました。1920x1080なら快適に狩りができ、2560x1440でも特に問題なしです。4Kになるとフレームレートが足りず、操作感が悪くなります。リマスターでもFSRを入れればなんとか4Kでも使える感じです。
ウルトラモードでは生活コンテンツやスクリーンショット撮影などを用途に、1920x1080までが実用域だと思います。
テストしたゲームの平均fps (幾何平均)
前テストの平均を取りました。1920x1080~2560x1440までのモニタを利用するのに向いたPCスペックだと言えます。1920x1080なら144Hz以上のモニタがおすすめです。
ベンチマーク・動作テスト
ベンチマークテストは、PCに負荷をかけて能力を見るテストです。
【PCの総合性能】PCMARK 10 Extended
PCMark 10 Extendedは、オフィスワークからゲームまで、これ一本で総合テストを行うことのできるベンチマークソフトです。
raytrek XF |
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プレミアムゲーミングPC |
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GALLERIA XA7C-R37(11700) |
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ハイエンドゲーミングPC |
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GALLERIA XA7C-R37 |
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ゲーミングPC |
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GALLERIA UL7C-R37 |
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ゲーミングノートPC |
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オフィス用ノートPC |
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テスト結果としては、プレミアムゲーミングPCのラインにいます。10世代、11世代のCore i7搭載のRTX 3070機と比べると、スコアが良くなっていることがわかります。
【CPUマルチスレッド】Cinebench r23
i9-12900K |
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i7-12700K |
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Ryzen 9 5900X |
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i7-12700 |
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i5-12400 |
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Ryzen 5 5600X |
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i5-11400 |
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CPUのマルチスレッド性能のテストです。UEFI BIOSで消費電力設定が低めの設定にされているため、12700Kと比べるとスコアは大人しい結果です。BIOSからCPUの電力設定を変更することで更に高いスコアを出すことは可能ですが、その場合はCPUクーラーをより高性能なものに換装したほうが良いでしょう。
【CPUシングルスレッド】Cinebench r23
i9-12900K |
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i7-12700K |
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i7-12700 |
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i5-12400 |
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Ryzen 9 5900X |
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Ryzen 5 5600X |
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i5-11400 |
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CPUの1コアの性能を計測するテストです。12世代IntelCPUのシングルスレッド性能はかなり高く、画質設定を下げて高フレームレートを稼ぎたいFPSなどで特に力を発揮します。
【DX12】3DMARK Timespy
DirectX12を利用したテスト。近年の高画質なゲームはDirectX12を利用しているタイトルが多いです。
【DX11】3DMARK Firestrike
DirectX11を利用したテスト。DirectX11は少し古いゲームや軽いゲームなどに使われています。
【動画書き出し】Adobe Premiere Pro CC 2022
Adobe Premiere Pro CC 2022を使い、ゲーム動画編集後の書き出し時間をテストしました。上位CPU&GPUに比べると待ち時間は増えますが、4K動画の編集も問題なくできます。
- ソースは約10分の3840x2160(4K) 60fps映像
- テロップとディゾルブ、Lumetriカラーを適用
- 「H.264 YouTube 2160p 4K Ultra HD」プリセットで書き出し
書き出し所要時間(短いほど良い)
GALLERIA ZA7C-R37T(12700K) |
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GALLERIA UA9C-R38(12900K) |
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Presence CAGE(5950X) |
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raytrek XF |
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GALLERIA XA7C-R36T(12700) |
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Presence BEMO |
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GALLERIA RM5C-R35(12400) |
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温度チェック
続いて、ゲームプレイ時やPremiere Proエンコード時、そして、Cinebench r23で継続して非常に高いCPU負荷をかけた時の動作温度をチェックしてみます。テストは室温26℃で行っています。
青ラインが使用率、赤ラインが温度、緑ラインは動作クロックです。
なお、i7-12700には「高性能のPコア」と「効率のEコア」が内蔵されているのですが、グラフでは主力であるPコアの動作クロックを示しています。
Cyberpunk 2077
サイバーパンク2077では、レイトレON&DLSSパフォーマンス設定によるテストを行っています。
【CPU】i7-12700
CPUのi7-12700についてはWindows11ではIntel Thread Directorにより全スレッドが平均的に動作します。全体負荷は6割以下、60℃程度の低めの動作温度で、4GHz程の安定した動作クロックとなっています。
【GPU】RTX 3070
RTX 3070の使用率は100%近くに張り付きますが、GPU温度は70℃程度をキープ。動作クロックも安定です。室温26℃でこの温度なら、夏場でも安定して動く安心感があります。
Cinebench r23
最後に、CPUに100%負荷をかけるCinebench r23での動作です。
【CPU】i7-12700
CPU全コアに100%の負荷をかけ続けた場合、65Wの電力制限により動作クロックは3.1GHz程度に抑制されますが、CPU温度は57℃程度でほぼ安定していました。
動作音
電源オフ |
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アイドル |
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ゲーム中 |
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CPUベンチ |
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動作音について、ケース横50cmにてデジタル騒音計を使って測定しました。
ケースの通風孔が多いために動作音は漏れやすいはずですが、元々の動作音が静かめなので比較的静かなPCです。
消費電力
アイドル |
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ゲーム中(CP2077) |
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砂漠最小化放置 |
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ゲーム中においての消費電力はマシントータルで350W以下に収まります。
そして、黒い砂漠を最小化放置などの軽作業時はマシントータルで80W程度で済み、省エネ性が高いです。
raytrek XFまとめ
raytrek XFは、執筆時点で同クラスのGALLERIA XA7C-R37(i7-12700 & RTX 3070)より4万円ほど安く「ケースにこだわりがないならraytrekでも良いのでは?」と思ったのがレビューを行ったきっかけでした。
基本的に、動作面でGALLERIAより劣る要素は特にありません。ゲームはもちろん問題なく出来ますし、動画編集も問題なく可能です。温度面や静音性も優れています。拡張性の限界も高いです。
GALLERIAとくらべて防塵フィルターがない点は、メリットともデメリットとも言えます。
raytrekは通風孔から内部がよく見えますね。開口部が大きい分空気の流れ(エアフロー)は良いですが、穴から内部にホコリを吸いやすいと言えます。定期的に内部をエアダスターなどで掃除してあげてください。
こんな人におすすめ
- 予算重視で性能の良いPCが欲しい方
- SSD/HDDなどをたくさん積みたい方
- ケースが光るなどの装飾が不要な方
記事の内容は執筆、更新日時時点の情報であり、現在は異なっている場合があります。 記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
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