Meta Quest3レビュー。MR(パススルー)やAV1の画質もチェックしてみた
Meta Quest 3を購入した。Quest 2やVALVE INDEXも利用したことのあるユーザーがチェックしていく。
Contents
全体的な性能の向上
- ディスプレイ解像度アップでよりリアルに
- チップセットが強力になって滑らかに
- メモリ搭載量アップで余裕が出た
- パススルーがカラーになってMRに対応
- 視野角が広くなって没入感アップ
- PCから映像を送る際には、Virtual Desktop(Oculus版)を使えばAV1エンコードが活かせる
とりあえず先代Quest 2を触った人なら上記の点で「良くなった」ということがわかると思う。
Meta Quest 3 | Meta Quest 2 | |
ストレージ | 128GB/512GB | 128GB/256GB |
メモリ | 8GB | 6GB |
チップセット | Qualcomm Snapdragon XR2 Gen 2 | Qualcomm Snapdragon XR2 |
重量 | 515g | 503g |
ディスプレイ | 液晶(LCD) 片目2064×2208ピクセル (Quest2から30%アップ) リフレッシュレート90Hz、120Hz(テスト時) 視野角:110°(水平)96°(垂直) |
液晶(LCD) 片目1720×1890ピクセル リフレッシュレート 最大120Hz 視野角:最大96° |
レンズ | パンケーキレンズ (スリム化&見やすさアップ) |
フレネルレンズ |
パススルー (外が見える機能) |
RGBフルカラー (Quest2の10倍の解像度) |
白黒 |
瞳孔間距離 | 58mm~71mm (ダイヤルで調整) |
58mm・63mm・68mm (3段階切り替え) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
コントローラー | Quest Touch Plusコントローラー | Quest Touchコントローラー |
バッテリーの持ち時間 | 最大使用可能時間:平均2.2時間 | 2~3時間 |
PCとの接続 | Quest Link / Air Link | Quest Link / Air Link |
少し小型になった
パンケーキレンズを採用したことで、HMDの厚みが減った。このためQuest 2よりもいくらか小型になった。重さ自体は12gの微増。
Quest 2を買ったときは、ゴム製のストラップが外れやすかったのでEliteストラップを追加購入した。
Quest 3も付属ゴムバンドは携帯性やごろ寝性能は高いものの、ホールド性はそこまで高くない。人によってはEliteストラップが必要かもしれない。
ちなみにQuest 2用のEliteストラップを流用することは出来ない。
Quest 2に比べて使い勝手が良くなった点としては、瞳孔間距離の調整がダイヤルで無段階調整出来るようになったことだ。Quest 2では内部のレンズ自体を持ってガッガッ!と切り替えなければならず、安っぽかった。
カラーでのパススルーやMRの体験はどのレベルか?
Quest 3では、パススルー用にフロントに外部の風景を取り込める18 PPDのフルカラーカメラが追加された。Quest 2ではこれがモノクロだったのだが、その10倍の解像度とのこと。
MRは楽しいぞ
これによってかなり実用域になってきたのがMR(Mixed Reality、複合現実)コンテンツである。これを目当てに買ってみようかな?という人もいるだろう。
実際MRは、楽しい。部屋の背景の中に、VRコンテンツが飛び込んでくる。無料のお試しコンテンツ「First Hand」(以下動画)だけでもかなり楽しめた。そこまで気にしてなかったけどこれは関連ソフト買いたくなる。(あと部屋の模様替えね)
MR(パススルー)の画質について
おそらくVRなどに詳しくない人がイメージするMRの画質は
(裸眼で見るような当たり前の)周りの風景 > (いまいち作り物っぽい)VRのオブジェクト
というイメージではないだろうか。実際は逆で
(意外ときれいな)VRのオブジェクト>ノイジーな周りの風景
という感じである。
Quest 3上で生成されるコンテンツ自体は、細かい文字も問題なく読めるレベルにはきれいだ。
それに対して、パススルーカメラの18 PPD(1度の視野に対して18ピクセル)の精細さはどのくらいかというと、「周囲の風景は認識できるが、モニタ上のテキストは近づかないと読めないくらい」である。
パススルー越しにスマホなどを見てみるとわかるはずだ。
つまり、それなりのブロックノイズがある。上の画像では本体内蔵録画から切り出して拡大しているが、実際にQuest 3を着用して見てもこのくらいの印象。
また、カメラ同士のつなぎ目に映ると対象がゆがんでしまうため、顔の近くに寄せて確認する作業などは難しい。
X(旧Twitter)にアップするくらいの解像度ならまだ耐えられるけど、YouTubeだと現実風景部分がちょっときついかもねって感じ。
寝ながらワイヤレスでPCゲームができる
Virtual Desktopとゲームパッドを使えば、完全に好きな姿勢でお好みのPCゲームをプレイできる。
パススルーを背景に出来るので、自分の手元を見たり周辺チェックも可能だ。もちろん、画面サイズや前後距離も自由に変えられる。
遅延は若干あるものの、シビアでないアクションゲームなら十分遊べるレベル。私は黒い砂漠で狩りをしたり、レースゲームをプレイして楽しんだ。
デスクトップのマルチタスクでは、Oculus Link/Air Linkが役に立つ。複数のウインドウアプリをVR空間上に好きに並べて作業が可能。執筆時点では背景はパススルー対応していないと思われる。こちらはあまり重いゲームや高ビットレート設定だとVirtual Desktopより不安定になることがあるものの、軽めのゲームなら問題なく動作する。
VRゲームで一番変わったのは視野とコントローラ
VRゲームのプレイフィールはQuest 2とあまり変わらない感じだった。縦横それぞれ300pxちょい解像度が高くなったので「確かにちょっときれいかも」という感じはするが、劇的な変化ではない。
96°から110°に広がった視野も、うーん、まあちょっと前より広い?くらいかな。
最もプレイフィールの違いを感じたのはコントローラだ。Quest 2にあったリング状の覆いがなくなったため、両手を重ねるような動きの際にも干渉しなくなった。また、引き続き乾電池式であるため、電池が切れてもすぐに交換して再プレイできる点も良い。
AV1コーデックに対応
Quest 3は、次世代の動画コーデックである「AV1」に対応している。
わかりやすくいうと「AV1という形式で作られた映像を再生できる」ということである。
AV1はHEVCよりも30%以上効率が良い(圧縮してもキレイ)という特徴がある。
AV1はYouTubeでも採用されている。
Meta Quest3 | Meta Quest2 | |
AV1 (HEVCの30%高効率、重い) |
〇 | × |
HEVC (ある程度キレイ、軽い) |
〇 | 〇 |
H.264 (やや粗い、軽い) |
〇 | 〇 |
最新ゲーミングPCの「AV1エンコード」が活かせる!?
動画を見る以外でもAV1対応の恩恵はある。PCVRにおいて、PCからAV1エンコードで映像を送れるのだ。
AV1エンコードをができるGPUは限られているが、最新のRTX 40シリーズやRadeon RX 7000シリーズが対応している。
ようやく、その出番がやってきたというわけだ。
Oculus版のVirtual Desktopでは、PCからQuest 3に、AV1エンコードで映像を送る機能が追加されている。PC画面以外の背景をパススルーで利用する機能もある。
AV1の画質をチェック
10Mbpsという低ビットレート設定で、どのくらい画質が違うかをチェックした。
HEVCとAV1の差は、一目では違いがわかりづらい。強いて言えば、HEVCの方がシャープな感じで、AV1はエッジがややのっぺりしている感じがした。
本来の画像
コンクリートの天井での柄、空の色、窓枠のエッジなどの劣化に注目してほしい。
H.264
H.264は明らかにガビガビであるので選択する価値はない。
HEVC
HEVCではH.264よりもだいぶ画質がアップ。窓枠の周辺にもわもわっとしたノイズが見られる。
AV1
AV1でもノイズはある。さらに、ノイズと判断されたのか、コンクリートのディテールが消えてしまってのっぺりとした印象。
HEVC vs AV1
AV1は処理が重い
なお、AV1は非常に処理が重いので、レイテンシが良くない。
i9-13900KF & RTX 4090で、120fps、200Mbps、Graphics Quality をGodlikeという一番重い設定にてSteamVR内で計測したところ、以下の通りの差が見られ、AV1にはノイズが乗ってしまった。
もうちょっと設定を下げるとレイテンシは下がった。画質を上げるためというよりは、ある程度低いビットレートで真価を発揮するものかもしれない。
Framerate | Latency | |
H.264 | 114~120fps | 37ms |
HEVC | 119~120fps | 37ms |
AV1 | 110~113fps | 130ms |
AV1の感想
- 200Mbpsのような高ビットレートだとRTX 4090でも処理が追い付かず、HEVCと画質に差が感じられない
- 10MbpsでもHEVCと画質の差をあまり感じられない
- PCVRのエンコードはHEVCでええかも
- AV1動画のビューワーとしての恩恵の方が大きいかも
まとめ
- MRが楽しい
- パススルーはブラウジングやPCゲーム時にも効果を発揮
- Quest 2よりちょっと解像度が高い
- レンズ調整がダイヤルでできるようになった
- リングがなくなって使いやすいコントローラ
- ちょっとだけ視野角が広い
- AV1対応
- お値段がだいぶ上がった
- パススルーの画質はそこそこ
Quest 2も持っているけど、個人的には買ってよかったと思う。価格は上がったが、性能を考えると適正かなと。
スタンドアロンでのVR・MRゲームはもちろん、PCと連携してのゲームプレイ、VRゲームプレイ、動画鑑賞など、用途はいろいろ考えられる。
とはいえ、Quest 2も入門としては安いのでまだまだ売れると思う。例えば、PCVRのヘッドセットとしてのみの利用だったらアリかな。
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