「Lightning-G AF7XW Ryzen7 7800X3D搭載」レビュー。コスパ重視でひと狩り行けるゲーミングPC
ドスパラを運営する株式会社サードウェーブより、ゲーミングPC「Lightning-G AF7XW Ryzen7 7800X3D搭載」をお借りしたのでレビューしていく。
Lightning-Gにも色々なマシン構成があるが、今回のマシンは上位スペックをお借りした。モンスターハンターワイルズなど、2025年に登場するゲームにとってちょうどいい環境になると思ったためだ。
Contents
強化ガラスパネル採用で、GALLERIAより中が見える
サードウェーブは、強化ガラスのサイドパネルを採用した新筐体のデスクトップPC「THIRDWAVE-G シリーズ」を2024年9月にリリースした。ポジションとしては「コストパフォーマンスを重視したモデル」としている。同社のゲーミングPCはGALLERIAシリーズがあるが、GALLERIAと比べるとシンプルな外観が特徴で、最近のゲーミングPCのトレンドを取り入れている感じがする。
早速「X3-03 WH ミニタワーケース」の特徴を見ていこう。
ケース前面は下部にTHIRDWAVEのメーカーロゴがあるのみ。シンプルで清潔感があり、どんな利用シーンにもフィットするデザインになっている。
トレンドの強化ガラス製サイドパネルを採用しており、光り輝く内部パーツを楽しめる。ただし、LEDパーツはオプションだ。オプションの内容等は後述する。
逆サイドもシンプルなデザインとなっている。
防塵フィルター関連
PC前方から吸気し、後ろと天面から排気する設計だ。
前方の両サイドの空気の取入口はメッシュ状になっていて、ホコリの侵入を防ぐ。
前方にもLEDファンを搭載している場合は、このメッシュ部分からもLEDの光がわずかに主張する。
ケーストップには、マグネット式のフィルターを設置。素手で簡単に取り外して清掃ができる点は、同社のGALLERIAのネジ止めよりも手軽だ。
フィルターの下は、240mmの簡易水冷ラジエーターがネジ止めで設置されている。
ケース底面にも、電源用の空気取り入れ口があり、そちらもフィルターが設置してある。こちらはマグネットではなく、8箇所のツメでフィルターを引っ掛けている形だが、これは正解だと思った。
底部フィルターがマグネットだと、PCの底部を持った時や何かに擦れた時にズルっとズレてしまうことがあるのだが、これならズレない。
ツメの位置もよく出来ていて、フィルターを少しずらせば取り外せるようになっている。
スイッチ・外部接続インターフェース
ケース上面前方に電源スイッチやUSBポート、マイク・ヘッドフォン入出力の共用端子(4極ジャック・CTIA)が並ぶ。USBポートはUSB 3.2 Gen1 Type-Aが2つとなっている。
リアのバックパネルは、搭載されるマザーボードに依存する。
今回レビューするLightning-G AF7XW Ryzen7 7800X3D搭載では、AMD A620 チップセットを搭載するMicro-ATXマザーボード「ASRock A620M TW」を搭載している。ASRockによる、サードウェーブ向けの製品だ。
USBポートは、USB2.0 Type-Aが上段に2つ、下段にUSB 3.2 Gen1 Type-Aが2つとなっている。Type-CやUSB3.2 Gen2ポートを搭載しないことでコストカットをしているようだ。
また、CPUからの映像出力のためのDisplayPort、HDMIポートも搭載するが、グラフィックボードからのポート(DisplayPort x3 HDMI x1)があるため、「使用不可」のシールで塞がれている。
基本的にモニタとの接続は、下にあるグラフィックボードから行う。
レビュー機スペック
今回レビューする「Lightning-G AF7XW Ryzen7 7800X3D搭載」は、THIRDWAVE-Gシリーズの中でも上位機種。ゲームで抜群のポテンシャルを発揮するCPU「Ryzen 7 7800X3D」と、エントリー向けにも余裕があっておすすめな「GeForce RTX 4070」を搭載したモデルとなる。また、評価用にケースファンとメモリのLEDオプションを適用してある。
搭載パーツ(太字はカスタマイズ) | 当サイトによる一言評価 | |
ケース | X3-03 WH ミニタワーケース | ガラスサイドパネル採用、2024年9月登場の新型ケース |
ケースファン | 12cm ファン x3 (フロントx2, リアx1) ↓ 12cm ARGBライティング対応ファンに変更 (変更箇所:フロントx2, リアx1) |
ケース前後のファンはARGBの光るファンにできる |
マザーボード | ASRock A620M TW | コスパ重視のエントリーモデル(Micro-ATX) |
CPU | AMD Ryzen 7 7800X3D | 3D-Vcache搭載でトップクラスのゲーミング性能 |
CPUクーラー | (水冷式) PCCOOLER DA240 ARGB BK (ARGBライティング対応) |
7800X3Dに必要な冷却性能を持っている |
GPU | GeForce RTX 4070 12GB | 2560x1440(WQHD)くらいまでを得意とするグラフィックボード |
メモリ | 16GB (8GBx2) (DDR5-4800) ↓ 16GB (8GBx2) (DDR5-4800) + ホワイトヒートシンク (ARGBライティング対応) |
ARGBライティング対応のメモリにすれば、より映える! 容量は32GBにアップグレードがおすすめ。 |
SSD | 1TB SSD (M.2 NVMe Gen4) | 当面は十分な容量 |
電源 | 750W 電源 (80PLUS GOLD) | 容量は問題なし |
※2024/11/7 レビュー時点での情報です。最新の情報は公式ページよりご確認ください。
ケース内部
リアのネジを外せばサイドパネルが開けられる。搭載パーツを詳しくチェックしていこう
LEDファンについて
まず、投機の特徴であるカスタムのLEDファンについて紹介したい。当機で光らせることができるファンは5つ。
前方2つ、後方1つ、そして天面のCPUファン(簡易水冷クーラー)のラジエターに搭載された2つのファンだ。
通常 | レビュー機の適用オプション | |
前方x2 | 非発光 | LEDファン |
後方x1 | 非発光 | LEDファン |
CPUファンx2 | LEDファン | 変更なし(LEDファン) |
レビュー機では、前方と後方のファンをLEDファンにカスタムし、全5箇所を光らせている。
デフォルトLEDカラーの青の色味だが、写真で再現するのがなかなか難しかった。公式サイトでも若干白っぽくなっているので注意。実際にはこんなに白飛びはしておらず、下記の写真のような青い色の方が近い。そして、写真よりもうちょっと明るい、といった様子だった。光の強さは決して明るすぎず、ケース内のマザーボード表面がほんのり見えるかな?くらいの明るさになっている。これなら「眩しくてデスクに置けない!」というようなことはないだろう。
また、ファンはARGB対応のため、LEDカラーをユーザー側で調整が可能だ。
PCを起動し、Delキー連打からBIOSに入る。ASRockマザーボード搭載機の場合、Advanced Mode > Tool > ASR USB LED test formにて、LEDの調整が可能だ。
LED Modeは発光自体のオン・オフのほか、点滅したり、だんだん色が変わったりなどの発光パターンを変更できる。固定色のStatic設定なら、Red(赤)/Green(緑)/Blue(青)/Brightness(明るさ)を設定して、自分の好きな色に調整できる。Modeや色を設定したら、「Apply to all channel」を押した時点で色が適用される。色が変わったことを確認したら、BIOSのExitタブから「Discard Changes and Exit(設定変更内容を保存しないで再起動)」を選択すれば、色は維持したままその他のBIOS項目を変更することなく安全に抜けられる。
ASRock製品なのでPlychrome Syncも使えると思うが、パフォーマンスに影響したりする場合もあるので、基本的にはBIOSからの変更が無難で良いと思う。
BIOSから変更するのはちょっと難しそう…という方は、注文時に「LEDカラー変更」も可能だ。
マザーボード
マザーボードは、Micro-ATXの「ASRock A620M TW」を搭載している。
A620はエントリーグレードで、自動オーバークロックであるPrecision Boost Overdrive(PBO)に非対応など、性能面で上位のB650にやや劣る。
GALLERIAでは上位のB650やX670Eを採用しているので、この点は「コスパ重視モデル」ならではのチョイスだろう。
問題はB650とどのくらい性能が違うかだが、ぶっちゃけ「ベンチマーカーでもなければ全然許せる程度の差」であった。後述のテストでチェックしていく。
CPUファン(CPUクーラー)
標準搭載のCPUファンは、ARGBに対応した「PCCOOLER DA240 ARGB BK」という240mm簡易水冷クーラーである。
先述の通り、当機は自動オーバークロックのPBOに対応しないため、CPUクーラーの要件はそこまで高くない。
そこでコスパ重視で選ばれたのが、Shenzhen Fluence Technology PLC社が製造するブランド「PcCooler」の製品なのだろう。
電源を入れるこのような感じで、ヘッド部分に「CPS」のロゴが出る。CPSシリーズはPcCoolerの最新の製品シリーズとなっている。
ラジエター部が光る、ビジュアル重視のクーラーが標準搭載されるのは嬉しい。GALLERIAだとサイドパネルの窓が小さいのでこれを搭載してもあまり目立たないが、当機ならしっかり見える。
Cinebench r23のマルチスレッドテストを10分行った。Ryzen 7 7800X3Dの温度を最大83℃に抑える。7800X3Dの最大温度は89℃なので、まだ余裕がある。
全コア高負荷時のCPUクロックも4.6GHz程度を維持しているので、CPUヘビーなゲーム用途でも問題なく動作させられる。
コスパモデル故か動作音はそれなりに大きく、PCの主要なノイズ源である。CPUベンチマークを行っている間は、50dbAを超え、ちょっとうるさいなと感じるくらいであった。
とはいえ、ゲーム中の動作音は簡易水冷搭載のゲーミングPCとしては普通という印象だ。
動作音 (ケースサイド50cm)
電源オフ |
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アイドル |
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サイバーパンク2077 |
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CPUベンチ |
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少しカスタマイズ費を出しても良い方は、簡易水冷の「ASETEK 624S-M2」に変更する手もある。
ASETEKは簡易水冷クーラーの有名ブランドで、高い冷却力を誇る。その分、ファンの回転数を調整して動作音を抑えられるかもしれない。他の7800X3D搭載機(GALLERIA)で624S-M2を測定したときは、回転数無調整で46.4dbAだった。ケースも違う機種の測定なので正しい比較にはならないが、ご参考まで。
メモリ
メモリはDDR5-4800 16GB(8GBx2)が標準搭載される。レビュー機のようにARGBライティングで光るタイプはオプションで、執筆時点では+4000円となっていた。
容量としては、32GBくらいあると、ゲームをプレイしつつブラウザで調べ物…といった余裕が出るのでおすすめだ。ただ、今回のテストではすべてのゲームで16GBで問題なく動作している。
グラフィックボード
レビュー機のグラフィックボードは、Palit製のGeForce RTX 4070 12GBが搭載されていた。
サイバーパンク2077で高負荷動作中のGPU温度はこんな感じ。最大75℃となっていて、特に問題ない。
動作クロックも極端に下がることもなく安定しており、2.7GHz以上で動作していた。
電源の配線はこのような感じ。
M.2 NVMe SSD
M.2 ARMORの下にM.2 NVMe SSDが搭載されている。レビュー機ではSolidigm製のSSDPFKNU010TZが搭載されていた。
速度は、シーケンシャルRead4000MB/s、Write2916MB/sを出している。Gen3よりちょっといいかなくらいで、コスパ重視のSSDだ。
実用的に問題はないが、もっと良いものが必要ならオプションで選べる。容量は最初から1TBと、2024年現在のゲーミングPCとして欲しい容量を搭載している。
色々なゲームを並行してプレイする人なら、2TBあってもいいと思う。
また、SSD 2の項目では、2つめのM.2 NVMe SSDを追加できる。1つめをOS用にして、ゲーム用をSSD 2にする、というのもアリ。
2.5インチSATA SSD/3.5インチHDD
M.2以外のストレージ関連は裏面側だ。
SATA SSDやハードディスクは、「ハードディスク / SSD」からいずれか1台のみ追加注文できる。
ケースには、2.5インチ/3.5インチストレージマウントが可能なポイントが5箇所あるが、追加注文した2.5インチあるいは3.5インチのストレージは、下図の「ドスパラ使用」とした位置に1台搭載される。
ケースの詳細は公式のガイドがあるので、そちらもご覧いただきたい。
THIRDWAVE PC X3-03 ケースと RGB-LED ライトの調整方法 | ドスパラ サポートFAQ よくあるご質問
ドスパラでは左下のこの位置に追加ドライブを設置する。枠の中は3.5インチ、枠の上に2.5インチまたは3.5インチのドライブが設置できる。
ガイドに載っていなかった情報として、右下の電源の上部分に2.5インチ用のマウント穴が空けられている。
サードウェーブによると、「防振ゴムブッシュを追加すれば、2.5インチドライブが設置できる」とのことだ。ただ、ドスパラでの提供はしていないので、こちらにドライブを追加したい場合はユーザーの自己責任での対応になるとのことだ。
電源
電源は標準で750Wのものが搭載される。
消費電力
アイドル |
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Cinebench r23(ピーク値) |
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サイバーパンク2077 |
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消費電力的には、ゲーム中でも300Wちょっとなので、標準の750Wで十分だ。
こだわりがある場合は、電源をカスタムできる。
ベンチマーク
【CPU】Cinebench r23 マルチスレッドテスト
Ryzen 7 7800X3Dは、3D V-cacheによる高いゲーミング能力とマルチスレッド能力を兼ね備えているのが特徴だ。
ただ、8コア16スレッドのCPUであることには変わりなく、マルチスレッド性能はそこそこだ。
また、当機はA620のマザーボードを搭載している関係で、自動オーバークロックのPBOが使えない。この関係もあり、B650のマザーボードを搭載した7800X3Dより、5%ほどベンチスコアが低かった。
とはいえ、旧世代の5700Xなどにくらべれば高いスコアを持っているし、動画編集などでも問題ないスペックだ。それらは後ほどチェックしていこう。
i9-13900K |
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Ryzen 9 7950X3D |
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i7-14700KF |
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i7-14700F |
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i7-13700F |
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Ryzen 7 7800X3D (B650) |
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Ryzen 7 7800X3D(Lightning-G AF7XW) |
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Ryzen 5 7500F |
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Ryzen 7 5700X |
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Ryzen 7 5700X |
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i5-13400F |
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Ryzen 5 5600X |
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【CPU】Cinebench r23 シングルスレッドテスト
ゲームで重要となるシングルスレッドも、上位CPUと比べるとそこそこ。とはいえ、実際のゲーム性能はかなり高いのでCinebenchの結果が全てではない。
i9-13900K |
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i7-14700KF |
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Ryzen 9 7950X |
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i7-14700F |
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Ryzen 5 7500F |
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Ryzen 7 7800X3D (B650) |
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Ryzen 7 7800X3D(Lightning-G AF7XW) |
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i5-13400F |
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Ryzen 7 5700X |
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Ryzen 5 5600X |
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【総合】Passmark
PassMarkは、CPU、グラフィックス、メモリ、ディスクなど、システム全体のパフォーマンスを包括的に測定できるソフトウェアだ。
当機は、87パーセンタイル、つまり「世界の87%のシステムより優れている」との結果を出した。
CPU、2D、3D、メモリ、SSDの評価は以下の通り。多くの項目が高めの結果を出しているが、特に3Dグラフィックス性能の高さが際立っている。
つまり、グラフィックボードの3Dグラフィックス性能が高く評価されたと言えそうだ。
項目 | スコア | パーセンタイル |
CPU Mark | 33713 | 87% |
2D Graphics | 976 | 78% |
3D Graphics | 31963 | 97% |
Memory | 3045 | 65% |
Disk | 13920 | 50% |
【総合】Adobe Premiere Pro 4Kエンコードテスト
YouTuberなどにも多く使われる動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro CC 2025(v25.0)」を使い、ゲーム動画編集後の書き出し時間をテストした。
- ソースは約10分の3840x2160(4K) 60fps映像
- テロップとディゾルブ、Lumetriカラーを適用
- NVENCによるGPUエンコード支援あり
- 「H.264 YouTube 2160p 4K Ultra HD」プリセットで書き出し
なお、結果は機種ごとのPremiere Proのバージョンに違いがあるので、厳密な比較ではない点はご容赦いただきたい。v23.0が古くなってDLできなくなったので、今回からv25.0のデータを取り始めた形だ。
結果としては中間的なスコアだ。GPUがメインのエンコードになるが、CPU能力も関係するので、総合的な性能でエンコード時間が変わってくる。
raytrek 4CZZ |
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GALLERIA ZA9C-R48(13900KF) |
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GALLERIA XA7C-R47TS(14700F) |
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GALLERIA ZA7C-R47T(14700KF) |
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Astromeda Creator |
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Astromeda Streamer |
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Astromeda GAMER |
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GALLERIA XA7R-R47T(7800X3D) |
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Lightning-G AF7XW(7800X3D) |
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GALLERIA RM7C-R46T(7500F) |
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GALLERIA XA7C-R47T(13700F) |
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GALLERIA XA7R-R47TS(5700X) |
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GALLERIA RM7C-R47S(14700F) |
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GALLERIA XA7R-R47(5700X) |
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GALLERIA RM5C-R46(13400F) |
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ゲームパフォーマンス
ここからは各ゲームのパフォーマンスをチェックしていく。
ゲーム性能は、CPUとGPUのバランスが大切だ。特に最近のDirectX12世代ゲームはCPUをよく使うので、CPUがゲーム性能のボトルネックになりやすい。
その点、3D V-Cache搭載の7800X3DとRTX 4070のパワーは、あらゆるゲームを快適に動かすパワーを持っている。
テストや用語、簡易評価について
ゲームにおいて、1秒あたりに表示できる静止画(frame)の枚数を「フレームレート」と言う。 単位は「fps(frames per second)」で示す。フレームレートが高いほど、キャラクターの動きは細かく、滑らかに表示できる。
アクションゲームやシューティングゲームなどでは勝ち負けにかかわるので、ゲーミングPCとしてどのくらいフレームレートが出せるのかは重要だ。
そこで、今回のテストでは解像度ごとに2つのフレームレートを測定した。
- 平均fps:テスト中のフレームレート平均値。
- 1% Low:悪い結果の平均値。ゲームテスト中の下位1%のフレームレート。
- (最低fps):ゲームベンチマークを利用した場合、プログラムで出力された最低fpsを記載。1% Lowの代替として。
滑らかな映像体験には平均60fpsが目安となる。「60fps張り付き」などのシビアな要件で見るなら、1% Lowなども60fps以上ほしいところだ。
また、わかりやすさのため、レビュワーの主観にはなるが、ゲームごとの★5段階の満足度評価もつけることにした。
基準としては、搭載するグラフィックボードのレベルに応じての満足度となる。たとえば、RTX 4070であればNVIDIAが2560x1440(WQHD)での性能を発表しているため、「高画質でWQHDが動けば満足」という感じだ。
- ★★★★★:非常に快適。ゲームや一般的な設定に対して性能が十分だと感じられる。
- ★★★★☆:快適。一部画質設定等を妥協する必要があるが、十分にゲーミングPCらしい体験ができる。
- ★★★☆☆:普通。設定の妥協などを求められるが、そのゲームを楽しめる。
- ★★☆☆☆:やや不満。あまり快適ではなく、できれば上位のPCがほしいと感じる。
- ★☆☆☆☆:不満。PCの能力がゲームに対して明らかに不足しており、プレイそのものができない。
モンスターハンターワイルズ (OBTテスト時点):★★★★★
2024年11月1日から4日まで行われた、「モンスターハンターワイルズ」のオープンベータテストで動作を記録した。
3人のサポートハンター(NPC)とともにドシャグマ狩りをした時の平均フレームレートとなっている。
画質設定についてはプリセットの「ウルトラ」をベースに、DLSSをオン、フレーム生成をオンにしている。また、解像度ごとにDLSSの設定を以下のように変更している。
- 1920x1080:DLAA
- 2560x1440:DLSSクオリティ
- 3840x2160:DLSSパフォーマンス
CPU・GPU共に非常に要求が高いタイトルだったが、7800X3DとRTX 4070のパワーで、2560x1440までは十分に遊べるフレームレートを出していた。4KはDLSSパフォーマンスとフレーム生成をもってしても平均41.7fpsに留まり、GPUのパワー不足を感じた。この点は次世代タイトルとしては仕方ないだろう。
また、ウルトラ設定においては、VRAMの使用量が11GBに至った。自前の8GBのVRAM搭載グラボでのテストでは、VRAM不足からか、テクスチャがおかしくなることがあった。
この点では、RTX 4070は12GBのVRAMとそれを扱えるパワーを持っているので、ワイルズをウルトラ設定で遊ぶ際に「妥協しないでよかった!」と思える点になるかもしれない。
黒神話:悟空:★★★★★
Unreal Engine 5が登場した頃から話題になっていた、非常に美しい画面のアクションRPG。西遊記をフィーチャーした世界観が特徴だ。
今回はベンチマークプログラムを用い、最高設定、レイトレーシング、DLSS、フレーム生成オンでテストを行った。
DLSSについてはソフトの自動設定に準じ、解像度ごとに以下の設定を行っている。
- 1920x1080:サンプリング解像度100(DLAA相当)
- 2560x1440:サンプリング解像度75(DLSSクオリティ相当)
- 3840x2160:サンプリング解像度50(DLSSパフォーマンス相当)
RTX 4070としては、2560x1440くらいまでを主眼としているGPUなので、4Kのみガクっと落ち込む結果は想定通りといったところだろう。
「モンハンワイルズのテストの参考になる」とも言われる同作ベンチマークだが、モンハンは悟空ベンチより更に重いので注意が必要だ。
Call of Duty: Black Ops 6:★★★★★
Call of Dutyシリーズの最新作。シングルプレヤーキャンペーンにも力を入れたFPSで、1991年の湾岸戦争を舞台に、CIAの工作員としてシネマティックな活躍を楽しめる。
そういう意味では、フレームレートもある程度確保しつつ、高画質で楽しみたい。
そこで、グラフィックプリセット「極限」と、DLSSパフォーマンスを設定し、ゲーム内ベンチマークモードをテストした。
1920x1080~2560x1440までは平均100fps以上を確保でき、快適にプレイできるだろう。DLSSパフォーマンスより設定を上げても良いと思う。
4Kも80fpsは出ていたが、ちょっとカクつきを感じる場合もあるかもしれない。
ドラゴンズドグマ2:★★★★★
ドラゴンズドグマ2は、モンハンワイルズと同じくREエンジンで開発されたタイトルである。
CPU負荷が高いためにフレームレートが出ないタイトルの代表格だったが、DLSS3のフレーム生成に対応してかなり化けた。
国境監視団宿営地にて、レイトレーシングを含む最高画質設定にし、DLSSは速度重視(他ゲーで言うところのPerformance)、フレーム生成をオンにしてテストした。
2560x1440までは全く問題ないフレームレートを出している。4Kも平均76fpsを出しているため、十分に遊べる。
サイバーパンク2077:★★★★★
サイバーパンク2077では、最初に「真のレイトレ」モードであるRT:オーバードライブプリセットにて、DLSS3自動設定および、フレーム生成をオン、Ray Reconstructionをオンにしてのテストを行った。
4Kはちょっと足りない感じがするが、2560x1440までは十分に遊べるフレームレートを出している。
1つ下の設定である「レイトレーシング:ウルトラ」なら、4Kでも平均74fpsと、快適に遊べるだろう。
The First Descendant:★★★★★
Unreal Engine 5で開発され、レイトレーシングなども実現した次世代ルートシューターだ。
テストでは、グラフィック品質をウルトラ、レイトレーシングウルトラ、DLSSパフォーマンス、フレーム生成ON、Ray Reconstructionオンに設定。
「環境汚染地帯」をアルティメットバニーで駆け抜けた。
TPSなのでプレイヤーによってどの程度の快適性を求めるか難しいタイトルだが、画質重視なら4Kでも遊べる。プレイフィール重視なら1920x1080か2560x1440がおすすめだ。 PS5では真似できない高画質や滑らかなゲームプレイを楽しめる。
Once Human:★★★★★
2024年リリースの、マルチプレイのオープンワールドサバイバルゲーム。
DX12の最高画質プリセットと、解像度ごとに以下の設定で、「白銀の荒野」の母巣収容所で動作をチェックした。
- 1920x1080:DLAA + フレーム生成
- 2560x1440:DLSSパフォーマンス + フレーム生成
- 3840x2160:DLSSパフォーマンス + フレーム生成
ゲームは軽めのため、フレームレートは高く、4Kまで十分遊べる結果となった。フレーム生成やDLSSを切っても良いかもしれない。
VALORANT:★★★★★
eSportsタイトルとしても人気の競技系FPS。競技用の低画質設定で、屋外射撃場でオーディンを撃ちまくった際のフレームレートを測定した。
360Hzモニタも問題なく使いこなせるフレームレートを出していた。
Apex Legends:★★★★★
長く人気が続くバトロワ系FPS。競技用に設定を下げ、射撃訓練場でテルミットグレネードを10発投げて、炎が消えきるまでのフレームレートを測定した。
テルミットグレネードはフレームレートが落ちやすく、これに耐えられればエフェクトの負荷として実用的と考える。ゲームの最大フレームレートは300fpsだ。
1920x1080であれば、平均値的にも240Hzモニタが活用できるだろう。
Cities: Skylines II:★★★★☆
街づくりシミュレーションゲームであるCities: Skylines IIは、街の中の人間一人一人まで計算し、描画するので、現行ゲームの中でも最高ランクに重いゲームだ。
今回は画質の最高設定であるグローバルグラフィッククオリティ「高」でDLSSを「最大パフォーマンス」に設定した場合と、とにかく軽さを求めてグローバルグラフィッククオリティを「最低」にした場合の動作をチェックした。
都市は13万人まで育てた状態で、少し遠目から俯瞰で見つつ、「シミュレーションスピード」設定で最高速度(3キーを押した状態)でゲーム内1時間のフレームレートを測定する。
高設定では30fps弱の動作となる。RTX 4070のパワーは4Kで不足するものの、1920x1080~2560x1440ではCPUがボトルネックになった。
画質設定を下げるとフレームレートは大きく改善し、50fpsほど出るようになる。
Final Fantasy XIV:★★★★★
Final Fantasy XIVについては、黄金のレガシーベンチマークでの最高設定をテスト。ベンチマークで出力されるスコアからフレームレートをチェックした。
リマスタリングが行われて負荷が高まったが、DLSSを使わずに4Kでも平均60fpsを出せていた。操作快適度を考えると2560x1440くらいまでが無難だろう。
黒い砂漠:★★★★★
黒い砂漠では、美しい反射などが楽しめる「リマスター」の画質設定で、エルビアサウニールでの狩りでフレームレートをチェックした。
現在の標準画質と言えるリマスターはなかなか重いのだが、1920x1080で平均187fpsを叩き出す。4Kではさすがに平均59fpsに落ち、ちょっと重い。
ちょうどいいモニタは?
モニタ選びなどのため、今回テストしたゲームの幾何平均フレームレートを算出した。幾何平均では、算術平均(足して割るだけ)に比べて一部の突出した値に引っ張られにくいので、より体感に近いフレームレートを求めることができる。
テストゲームの平均フレームレート
1920x1080のFHDモニタであれば、VALOやAPEXなどを行うなら240Hzモニタがちょうど良い。それ以外のアクションゲームであれば、手頃な144Hzなどのモニタが良いと思う。
2560x1440のWQHDモニタになると120Hzくらいが適正だ。
3840x2160の4Kモニタで高画質運用するにはちょっと性能が足りないゲームもあるが、利用する場合は60Hzの一般的なモニタがおすすめだ。
OBSによるゲーム配信テスト
OBS Studioを利用してのゲーム配信のテストを行った。
内容としては、サイバーパンク2077にて、高画質な「RT:ウルトラ」設定で1920x1080のベンチマークテストを行いつつマイクで喋るというもの。
YouTube向けに10Mbpsで、AV1形式を利用した1920x1080/60fpsの配信テストを行った。
周辺機材としては、オーディオインターフェースのYAMAHA AG03MK2を利用。 マイクのノイズカットにはNVIDIA Broadcastを利用した。 また、VTuberのようにキャラクターを表示させられる、VTube Studioも併用した。 モニタはゲーム用と配信管理用に2台を接続した。
テスト結果
VTuberのようにキャラクターを表示しつつ、高画質なゲームプレイをしながらPC1台で快適なゲーム配信が可能だった。
ドロップフレーム(処理しきれないコマ)は0で、問題なく処理ができていた。 また、サイバーパンク2077自体もレイトレ等を利用した1920x1080にも関わらず平均140fpsを出しており、プレイ上の問題はまったくなさそうだ。
まとめ:2025年も戦える性能を持つマシン
良いところ
- 最新の超重量級ゲームも高いグラフィック設定で動かせる (解像度はWQHDまでが目安、物によっては4Kも)
- シンプルで洗練されたデザイン
- カスタムでLED化が可能
- ミドルタワーよりひと回り小さく、デスク上に置きやすい
- 高負荷ゲーム時でもマシントータル300Wちょいで収まる
- 意外と多いストレージ設置箇所(2.5インチ/3.5インチで合計5箇所)
- ちゃんと安い (同CPU&GPUのGALLERIA比)
惜しいところ
- USBポートが最低限
- PBO非対応のA620マザーボード
- CPU全開時の動作音はやや大きい
- 注文時の2.5インチ/3.5インチストレージ追加は1台まで
感想
当機は見た目、扱いやすさ、重いゲームで求められる性能、そして価格。これら全てを高いバランスで兼ね備えているモデルだと言って良いと思う。
ケースについてはGALLERIA/raytrekなどのサードウェーブ製品の経験を活かしたケースだと感じた。GALLERIAはLED主張が控えめだったので、最近の「光るゲーミングPC」として物足りなさを感じる人もいるかもしれない。その点、当機のサイドパネル全面から内部が見える構成は、今どきのゲーミングPCのトレンドをしっかりおさえている。ガラスパネルをサイド1面だけにしたことで、光らせない場合にも悪目立ちしない。
スペックとしては、どんなゲームでもしっかり動かせるCPU「Ryzen 7 7800X3D」と、VRAM12GBのエントリーになる「GeForce RTX 4070」の構成は正解だった。予想以上に重かったモンスターハンターワイルズのOBTも、エラー落ちや表示バグを発生させるようなこともなくきちんと動作させることができた。
また、これらのCPU/GPUは既に登場して月日が経っており、「(良い意味で)枯れた製品」ということもポイントの一つになると思う。新型CPU/GPUにて発生する不具合の心配などもほとんどないと考えられるためだ。ワイルズの発売日に万全のスタートダッシュを切れる1台だと思う。
製品としてコストカットを感じたポイントはもちろんある。USBポートやCPUクーラー、マザーボードなどだ。特にパフォーマンスに関係するのはCPUの自動オーバークロック非対応のA620マザーボードだ。Cinebenchなどで見てもB650の7800X3Dに対してスコアが少し低めだった。
とはいえ、実際に動かしてみるとゲームプレイの"体感"において、これといった不満を感じることはなかった。
また、上位製品のGALLERIAとの価格差を考えても、満足度が高いと思う。
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「コスパ重視モデル」の役目はしっかり果たしており、ドスパラの新たなスタンダードマシンになるかもしれない。
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