「RTX 50シリーズ」ついに登場!特徴と前世代とのスペック比較
CES 2025で発表された、NVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 50(RTX 5000)シリーズ(Blackwell)」についてまとめていく。前世代であるRTX 40(RTX 4000)シリーズ(Ada Lovelace)からさらにレイトレーシング性能とAI処理能力が強化された。ゲーマーやクリエイター、そしてAI開発者にとって注目の新アーキテクチャだ。
Contents
RTX 5000シリーズ 概要
2025年1月7日 11:30(日本時間)から開催されたCES 2025のカンファレンスで、NVIDIAは新アーキテクチャ「Blackwell」を採用したGeForce RTX 5000シリーズを発表。中級クラスの「RTX 5070」が、前世代比ハイエンドのRTX 4090と同等と発表される衝撃のスタートから始まった。
主なポイントとしては、レイトレーシング(RT)コアとTensorコア(AI処理用コア)が進化し、新バージョンのDLSS 4に対応する。
メモリも第7世代(GDDR7X)を搭載し、各モデルで帯域幅が増加する。
DLSS 4
RTX 50シリーズは、DLSS4の「マルチフレーム生成」に対応することで、一度に複数のフレームを生成できるようになる。
そのおかげで、RTX 5090では4Kで240fpsのフルレイトレーシングゲームを実現するという。
DLSS4は当然、ゲーム側の対応が必要となるが、GPUの発売時には75のゲームとアプリがDLSS4に対応する予定だ。
また、DLSS4はRTX 40、RTX 30、RTX 20シリーズでも部分的な機能が利用できる。
RTX 50シリーズだけで利用できるのは、先に紹介した「DLSSマルチフレーム生成」だ。RTX 40では同時に1つのフレームしか生成できなかったが、RTX 50では3つのフレームを同時に生成できるようだ。
また、RTX 50/40シリーズでは強化されたDLSSフレーム生成が利用できるという。40%高速化され、VRAMの使用量が30%減り、フレームレートを高速化させる。
そしてすべてのRTXシリーズで、DLSS Ray Reconstruction、DLSS Super Resolution Beta、Deep Learning Anti-Aliasing(DLAA) - Betaを、DLSSトランスフォーマーモデルにアップグレードできるという。
これは既存のGPUを利用しているユーザーにも嬉しいニュースと言えるだろう。
出典:NVIDIA
DLSS4 対応予定タイトル(RTX 50 GPUリリース時)
出典:NVIDIA
A Quiet Place: The Road Ahead | God of War Ragnarök | Ready or Not |
Akimbot | Gray Zone Warfare | Remnant II® |
Alan Wake 2 | GROUND BRANCH | Satisfactory |
Aunt Fatima | HITMAN World of Assassination | SCUM |
Backrooms: Escape Together | Hogwarts Legacy | Senua's Saga: Hellblade II |
Bears in Space | ICARUS | SILENT HILL 2 |
Bellwright | Immortals of Aveum™ | Skye: The Misty Isle |
Crown Simulator | Indiana Jones and the Great Circle™ | Slender: The Arrival |
Cyberpunk 2077 | Jusant | Squad |
D5 Render | JX Online 3 | S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl |
Deceit 2 | Kristala | Star Wars Outlaws™ |
Deep Rock Galactic | Layers of Fear | Star Wars Jedi: Survivor™ |
Deliver Us Mars | Liminalcore | Starship Troopers: Extermination |
DESORDRE: A Puzzle Adventure | Lords of the Fallen | Still Wakes The Deep |
Desynced: Autonomous Colony Simulator | Marvel Rivals | Supermoves |
Diablo IV | Microsoft Flight Simulator | Test Drive Unlimited Solar Crown |
Direct Contact | Microsoft Flight Simulator 2024 | The Axis Unseen |
Dragon Age™: The Veilguard | Mortal Online 2 | The Black Pool |
Dugeonborne | NARAKA: BLADEPOINT | THE FINALS |
DYNASTY WARRIORS: ORIGINS | Need for Speed Unbound | The First Descendant |
Enlisted | Once Human | The Thaumaturge |
Flintlock: The Siege of Dawn | Outpost: Infinity Siege | Torque Drift 2 |
Fort Solis | Pax Dei | Tribes 3: Rivals |
Frostpunk 2 | PAYDAY 3 | Witchfire |
Ghostrunner 2 | QANGA | World of Jade Dynasty |
RTX 50シリーズの主要スペックと旧世代比較
RTX 4090 vs RTX 5090
RTX 5090に関しては「RTX 4090に対して2倍高速」とされている。VRAMは24GB GDDR6Xから32GB GDDR7へ、メモリインターフェイス幅は384bitか512bitに広がるなど、スペック面からも正統進化、大容量化が読み取れる。消費電力は575Wとかなり大きくなったものの、動作クロックは少し抑えられ、カードは2スロットになるようだ。4K以上の解像度のフルレイトレーシングゲーミングや、32GBのVRAMを活かしたAIの学習・推論で威力を発揮するだろう。
項目 | RTX 4090 | RTX 5090 |
---|---|---|
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Blackwell |
CUDAコア数 | 16384 | 21760 |
Shaderコア | 約83 TFLOPS | Blackwell |
VRAM容量 | 24GB GDDR6X | 32GB GDDR7 |
レイトレーシングコア | 第3世代 191 TFLOPS |
第4世代 318 TFLOPS |
Tensorコア | 第4世代 1321 AI TOPS |
第5世代 3352 AI TOPS |
ブースト クロック (GHz) | 2.52 | 2.41 |
ベース クロック (GHz) | 2.23 | 2.01 |
メモリ インターフェイス幅 | 384 ビット | 512 ビット |
メモリ帯域幅 | 1008 GB/sec | 1792 GB/sec |
DLSS | DLSS 3.5 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
DLSS 4 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
NVIDIA Encoder (NVENC) | 第 8 世代 x2 | 第9世代 x3 |
PCI Express | 4世代 | 5世代 |
AV1 | エンコード・デコード対応 | エンコード・デコード対応 |
最大解像度 | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz |
消費電力 (TDP) | 450W | 575W |
スロット | 3スロット | 2スロット |
発売時期 | 2022年10月 | 2025年1月30 日 |
価格帯 (税別) | 298,000円~ | 393,800円~ |
RTX 4080 SUPER vs RTX 5080
RTX 5080は、RTX 4080 SUPERと比較すると、Tensorコアの伸び以外はあまり驚くようなスペックアップはない。
メモリはGDDR7になっているとはいえ、容量は16GB、メモリインターフェイス幅も256bitと、RTX 4080 SUPERと同一だ。ただ、メモリ帯域幅はやや上がっている。
項目 | RTX 4080 SUPER | RTX 5080 |
---|---|---|
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Blackwell |
CUDAコア数 | 10240 | 10752 |
VRAM容量 | 16GB GDDR6X | 16GB GDDR7 |
Shaderコア | Ada Lovelace 52 TFLOPS |
Blackwell |
レイトレーシングコア | 第3世代 121 TFLOPS |
第4世代 171 TFLOPS |
Tensorコア | 第4世代 836 AI TOPS |
第5世代 1801 AI TOPS |
ブースト クロック (GHz) | 2.55 | 2.62 |
ベース クロック (GHz) | 2.29 | 2.30 |
メモリ インターフェイス幅 | 256 ビット | 256 ビット |
メモリ帯域幅 | 717 GB/sec | 960 GB/sec |
DLSS | DLSS 3.5 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
DLSS 4 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
NVIDIA Encoder (NVENC) | 第8世代 x2 | 第9世代 x2 |
PCI Express | 4世代 | 5世代 |
AV1 | エンコード・デコード対応 | エンコード・デコード対応 |
最大解像度 | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz |
消費電力(TGP) | 320W | 360W |
スロット | 3スロット | 2スロット |
発売時期 | 2024年 | 2025年1月30日 |
価格帯 (税別) | 162,800円~ | 198,800円~ |
RTX 4070 Ti SUPER vs RTX 5070 Ti
RTX 5070 Tiは16GBのVRAMを持っている点でも、4Kエントリーとして利用できそうだ。RTX 4070 Ti SUPERに対して2倍近いTensorコア性能を持っている。
項目 | RTX 4070 Ti SUPER | RTX 5070 Ti |
---|---|---|
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Blackwell |
CUDAコア数 | 8448 | 8960 |
VRAM容量 | 16GB GDDR6X | 16GB GDDR7 |
Shaderコア | Ada Lovelace 44 TFLOPS |
Blackwell |
レイトレーシングコア | 第3世代 102 TFLOPS |
第4世代 133 TFLOPS |
Tensorコア | 第 4 世代 706 AI TOPS |
第5世代 1406 AI TOPS |
ブースト クロック (GHz) | 2.61 | 2.45 |
ベース クロック (GHz) | 2.34 | 2.3 |
メモリ インターフェイス幅 | 256 ビット | 256 ビット |
メモリ帯域幅 | 672 GB/sec | 896 GB/sec |
DLSS | DLSS 3.5 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
DLSS 4 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
NVIDIA Encoder (NVENC) | 第8世代 x2 | 第9世代 x2 |
PCI Express | 4世代 | 5世代 |
AV1 | エンコード・デコード対応 | エンコード・デコード対応 |
最大解像度 | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz |
消費電力 (TDP) | 285W | 300W |
発売時期 | 2024年 | 2025年2月 |
価格帯 (税別) | 127,380円~ | 148,800円~ |
RTX 4070 SUPER vs RTX 5070
RTX 5070は、RTX 4070 SUPERよりもCUDAコア数が少ない。これをBlackwellアーキテクチャやGDDR7メモリががどのくらいカバーするのかが気になる所。メモリ量も12GBと据え置き。
項目 | RTX 4070 SUPER | RTX 5070 |
---|---|---|
アーキテクチャ | Ada Lovelace | Blackwell |
CUDAコア数 | 7168 | 6144 |
Shaderコア | Ada Lovelace 36 TFLOPS |
Blackwell |
VRAM容量 | 12GB GDDR6X | 12GB GDDR7 |
レイトレーシングコア | 第3世代 82 TFLOPS |
第4世代 94 TFLOPS |
Tensorコア | 第4世代 568 AI TOPS |
第5世代 988 AI TOPS |
ブースト クロック (GHz) | 2.48 | 2.51 |
ベース クロック (GHz) | 1.92 | 2.16 |
メモリ インターフェイス幅 | 192 ビット | 192 ビット |
メモリ帯域幅 | 504 GB/sec | 672 GB/sec |
DLSS | DLSS 3.5 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
DLSS 4 超解像度 DLAA レイ再構成 フレーム生成 |
NVIDIA Encoder (NVENC) | 第8世代 x1 | 第9世代 x1 |
PCI Express | 4世代 | 5世代 |
AV1 | エンコード・デコード対応 | エンコード・デコード対応 |
最大解像度 | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz | DSC、HDR で 4K 480Hz もしくは 8K 120Hz |
消費電力 (TDP) | 200W | 250W |
発売時期 | 2024年 | 2025年2月 |
価格帯 (税別) | 86,800円~ | 108,800円~ |
グラボスペックの印象や想定ユーザー・利用法
RTX 5070
まずは、あんまりカタログスペックがパッとしないRTX 5070から、NVIDIAがどういう観点で「スペック比較」をしているかを見ていこう。
RTX 5070はCUDAコア数がRTX 4070 SUPERよりも少なく、メモリは12GB、メモリ帯域幅もそこまで上がっていない。そのうえで、冒頭で革ジャン氏が「RTX 4090と同等」のように発言したことは、Blackwellアーキテクチャの効率化、メモリ世代の更新、そしてなによりDLSS4でのマルチレーム生成などを総動員した際に上手く行けば4090と同じくらいのフレームレートが出せることもあるよ…という話ではないかと予想する。
上図はRTX 4070との比較例で、解像度は2560x1440だ。RT性能はちょっと上がっている程度だが、DLSS Super Resolutionのクオリティ設定と、RR(レイ最適化)を使い、さらにMFG(マルチフレーム生成4倍)をオンにした場合はパフォーマンスがグンと上がっています。という話になる。これを念頭において各比較表を見ていく必要がある。
RTX 5070 Ti
RTX 5070 Tiについても、NVIDIAはあくまで2560x1440でのデータを示している。4K用としては5080を推したいのだろう。
とはいえ、前世代のRTX 4070 Ti SUPERは、VRAM 16GBを搭載し、高画質4Kゲーミングのエントリーモデルとして選んでも良い性能を持っていた。RTX 5070 Tiについても、5080と同様にVRAMを16GB搭載していることから、ショップやユーザーからは4Kのエントリーとして位置づけられるのではないだろうか。少なくとも2560x1440は大丈夫ということで。
RTX 5080
RTX 5080に関しては、4K解像度での結果を掲示。4Kでレイトレなどをふんだんに利用する最新AAAゲームをプレイしたい多くのゲーマーを満足させると予想する。
16GBのVRAMは4Kをネイティブで動かすには十分ではない場合も考えられる。ここでは、DLSS Super ResolutionにPerformance設定を使っているのがポイントだ。1920x1080ベースをAIアップスケールによって4Kで動かしている。
RTX 5090
RTX 5090はRTX 4090から絶対的な正統進化をしていることがスペックからも伺え、間違いなく進化が感じられるであろうモデルだ。4KとはいえここでもDLSS Super ResolutionはPerformanceモードで計測されている。
RTX 5090は4K~8K解像度で、高負荷なゲームを最高設定でプレイしたい人向けの選択肢だ。また、VRChatなどのVRAMがとにかくたくさん欲しい環境において、RTX 5090は32GBのVRAMを持っているため、安定度や限界が増すだろう。CUDAコア数が16384から21760にアップしており、DLSS等を使わないゲームプレイにおいても強力なパワーを発揮すると考えられる。ただ、RTX 4090比で10万円近くも価格が上がっていることや、電力消費の大幅増もあって、「本当にそこまで必要か?」と悩む人も多いだろう。ゲームにおいては、そもそもMFG4Xモードを使ってまで4Kでプレイしたいゲームがあるか?4Kで240fpsを出せる高額モニタを使えるか?といったトータル予算で選択を考える必要がある。
また、AI・ディープラーニング用途としては抜群に期待できる。RTX 5090ではVRAM量、CUDAコア数・Tensorコアともに強化されているため、RTX 4090よりはローカル環境での大規模モデルの学習や推論が効率良く進められるはずである。
動画編集・クリエイティブ性能
ハードウェアエンコーダーのNVENCの世代が新しくなり、増強されている。Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveなどのソフトを使用する際には高い演算性能を生かし、4K~8K映像編集をスムーズに行えるだろう。もちろん、今回発表されたいずれのモデルもAV1コーデック(エンコード、デコード)に対応している。
RTX 50シリーズの懸念事項
現行のRTX 40シリーズと比較した場合のデメリットとしては、性能向上に伴う価格上昇や、消費電力・発熱量が増えるであろう点だ。
また、ゲームプレイや動画編集においては、GPU性能を活かすためには見合った高性能CPUが求められるだろう。
RTX50シリーズを買う
それぞれのグラフィックボードの発売日は以下の通りだ。
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