若い人にはゲーミングPCで「ゲーム以外のこと」こそやってほしい
2023/02/27
もはやゲーミングPC(グラフィックボード搭載Windows機)をゲーム専用で済ますにはもったいない時代がきています。
ゲーム以外でも幅広い分野で役立ち、まさに「生涯学習」をするのにうってつけのマシンなのですよね。
そこで、ゲーミングPCを使ってできることを、私が実際に体験したものを中心に色々と紹介してみようと思います。
そして、色々なことをやってみたい方向けのおすすめのPCスペック・PCについても最後にまとめます。
Contents
家庭用ゲーム機よりディープにゲームを楽しむ
ゲーミングPCで最初にしたいことはもちろんPCゲームでしょう。個人的にはゲーミングPCならではの体験をしてほしいと思います。
MOD(ゲーム改造)でゲームの仕組みを知る
ゲーミングPCとPS5などの次世代ゲーム機の違いは何でしょうか?
それは、「開発者に近いこと」です。
PS5を含む、世の中のあらゆるゲームはパソコンで作られています。そのため、PC版のゲームでは、ゲームの改造自体もしやすいわけです。
MODはイラストに興味がある人が、何らかの作品の二次創作や同人活動を始めるような雰囲気と似ているかもしれません。
MODをつくる人をMODDERと言いますが、MODDERは好きなゲームに対し「こうしたらもっと良くなるだろうな」という改善を施したいわけです。
そして、自分で開発を行わなくても、他の人が共有してくれる「MOD」の文化があります。これは言って見れば同人誌の頒布のようなものです。海外では趣味のMOD開発からゲーム開発会社にヘッドハンティングされることもあります。ファンアートが上手い人がプロのイラストレーターになるのは不思議なことではないですよね。
一人で楽しむシングルプレイゲームでは、MOD文化を歓迎するタイトルもあり、例えばThe Elder Scrolls : Skyrimなどは公式のMODツールのおかげで世界中で大ヒットしたゲームの一つだと言えると思います。
もちろん、オンラインゲームなどではゲームバランスを崩したり、DLCや課金を妨げる要因にもなりかねないため、チート行為として禁止されていることがほとんどです。シングルプレイゲームのMODDINGでも、ゲームメーカーの損失にならないようによく考えて利用してください。
PC用のメジャーなゲーミングプラットフォームである「Steam」でも、MODを利用することができ、MODについて解説しています。Steam上のMOD (steampowered.com)
PC用VRゲームは画質のよさ、フルトラッキングがポイント
PC向けVRゲームはリアルで没入感の高い映像が魅力です。
VRのカヤックゲームちょっとやってみたけど画質良すぎて没入感ヤバかった~!これは漕いでたわ pic.twitter.com/cvKnV0MZqk
— おっさんゲーマー (@ossangamernet) July 25, 2022
このレベルを楽しむのにはRTX 3070以上は最低欲しいところ。
まだまだイニシャルコストが高いですが、今後ますます楽しみなゲーム分野です。
また、全身の動きをトレースするフルトラッキングも、PC用VRならではの魅力です。環境を整えるのがちょっと大変ですが、ハマる人はすごいハマる世界。
動画編集
今やTwitterでも動画が投稿できる時代です。YouTuberは動画編集ができないとなれません。
編集はゲーミングPCの得意とするところですね。グラフィックボードの支援によって動画を素早く書き出せるからです。
無料で使える「DaVinci Resolve」から始めてみよう
映像編集の初心者はとりあえず、無料で使えるBlackmagic DesignのDaVinci Resolveを試すと良いでしょう。VSTプラグインなども使えるプロフェッショナルレベルの映像編集ソフトが無料で使えるのはとてもありがたいですね。
本格的にやるなら「Adobe Premiere Pro」がおすすめ
本格的に動画編集をする場合は、DaVinci Resolveの有料版よりは、Adobe Premiere Proを使うことになると思います。
みんな使っているから情報がたくさんあるので、初心者も覚えやすいのが一番の利点かもしれない。
スローモーション動画などを作ることもできます。
AIの利用
最近はAIによるアートに注目が集まっていますが、ゲーミングPCとAIの相性は抜群です。
AIをやるならNVIDIA製グラボがおすすめ
機械学習ではPyTorchというライブラリを使う場合が多いのですが、これにはNVIDIA製グラフィックボードを使います。Windowsにおいて、AMD製GPUでは現状PyTorchを利用できません。
ゲーミングPCは多くの場合NVIDIA GeForceが積まれているので、ゲーマーは個人レベルでAIの真髄に触れてみることができるのです。
2023年現在では、ゲーミングPCを買う時にはグラボはGeForceにした方がいろいろな方面に使える可能性が高まります。
ゲーミングPCで遊べるAIの例
筆者個人が遊んでみたレベルなのでもっと色々あると思いますが…
Stable Diffusion (画像AI)
最近話題の無料で使える画像AIです。「こういう画像を出してほしい」という命令文を書くと、それを分析してAIが画像を作ってくれます。これをtxt2img(テキスト・トゥー・イメージ)と言います。また、画像を元に画像を生み出すこともできます。これをimg2img(イメージ・トゥー・イメージ)といいます。Stable Diffusionではどちらも可能です。
Stable DiffusionはPythonという言語で動くのですが、Pythonに詳しくない人でも利用できるパッケージとして、以下のStable Diffusion Web UI (AUTOMATIC1111版)があります。
NEUTRINO (歌唱AI)
NEUTRINOは人間と遜色ないレベルで歌うAIです。とりあえず以下の歌声を聞いてみてください。
無料のお歌AI「NEUTRINO」の歌声がすごいことになってる。ベタ打ち無調整なのにもう人間だろってレベル… pic.twitter.com/hIzXl5LvN2
— おっさんゲーマー (@ossangamernet) September 5, 2022
機械学習・プログラミング
こういったAI技術は、今後はスマートフォンでも利用できるものが多くなってくるでしょう。
しかし、「AIそのもの」を育てること、つまり機械学習でAI用のモデルを開発するにはPCが必須です。
ゲーミングPCは高い性能を持っているので機械学習やプログラムを動かす環境として最適です。
プログラミングの学習については、最近はネット検索で大抵の情報が出てくるので無料で始められます。
音楽制作(DTM)
NEUTRINO、東北きりたんだとどうなのかと呼んでみた。かわいい。やはり曲調的にはSEVENちゃんがぴったりだな。 pic.twitter.com/jiMucVvW1a
— おっさんゲーマー (@ossangamernet) September 6, 2022
NEUTRINOでお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、私はブログを始める前は趣味で音楽をやっていました。今でも息抜きや、動画のBGMを作る時に活用しています。
個人が嗜むDTMでは音源をソフトウェアで動かす場合がほとんどで、多数の音源を同時に鳴らしたり、遅延を減らすためにはCPUパワーが物を言います。物理モデリング音源などは特にそうです。
ゲーミングPCを選ぶ時、映像や音楽などのクリエイティブ方面も意識する方は、CPUもワンランク上の製品にしたほうが良いでしょう。
情報のまとめや分析
ガチのゲーマーになるとあらゆる情報分析を行いますが、その際にPCを使わない人はいないでしょう。タブレットなどと比べて操作性や視認性、レスポンスの良さなどが段違いです。
また、Web上から大量のデータを手に入れるスクレイピングなどを行う場合、CPUのマルチスレッド性能やメモリの重要性に気付かされます。
個人が情報をまとめるのにちょっと使うくらいならGoogleスプレッドシートで十分ですが、数十万行というデータをスムーズに処理するならローカルでやるしかありません。
Excelなどの表計算ソフトの他に、無料で使えるLibreOffice Calcなどでもマルチスレッド処理に対応しています。例えばこれらで数十万行のデータをソートするだけでも、CPUパワーで差が出てきます。
総合的な用途で考えるゲーミングPCの選び方 (2023/2/27更新)
これまで50台以上のゲーミングPCレビューを行ってきた経験などをもとに、おすすめPCを選びました。
用途 | おすすめPCの例 | CPU | GPU | メモリ | SSD |
軽めのゲーム Stable Diffusion入門 |
Magnate MV | i7-13400F | RTX 3060 12GB | 16GB | 1TB |
FPS (APEX/VALORANT等) ゲームの録画や編集 4K動画編集 DTM |
GALLERIA XA7C-R36T | i7-13700F | RTX 3060 Ti 8GB | 16GB | 1TB |
最新ハイエンドゲームを 高画質でプレイ VRや4Kも対応 |
GALLERIA XA7C-R47T | i7-13700F | RTX 4070 Ti 12GB | 16GB | 1TB |
現行最高画質のゲームプレイ AIや機械学習を 本格的にやりたい |
raytrek 4CZZ | i9-13900KF | RTX 4090 24GB | 32GB | 1TB(Gen4) |
CPUについてはIntelでいいと思います。限界性能が高いことはもちろんですが、低負荷時の省エネ性も高いです。グラボはもちろんGeForceですね。
【RTX 3060】軽~中量級のゲームをプレイ。Stable Diffusionの入門モデルとしても【予算15万円】
RTX 3060は、2023年のゲーミングPCとしてはそこそこのゲーミング性能と、AIを利用する上で魅力的な12GBのVRAMを搭載しています。一番の魅力は学生さんにも奨めやすい低価格であることです。
なお、RTX 3060には6GBのVRAMを搭載した下位モデルもあるので注意してください。
【RTX 3060 Ti】FPSなどを楽しむための少しCPUが良いスペック【予算20万円】
GPU:RTX 3060 Ti 8GB
メモリ:16GB DDR4
ストレージ:1TB NVMe SSD
FPSではフレームレートが高いほうが勝てる可能性が高まります。「画質設定は落としてもいいので勝てるコスパの良いマシンが欲しい!」という人もいるでしょう。
そうなると、GPUの性能はそこそこに、CPUの能力優先でチョイスします。そういう条件でバランスが良いのはi7-12700 & RTX 3060 Tiの組み合わせのGALLERIA XA7C-R36Tだと思います。
RTX 3060よりは一回りゲーミング性能が良いので、「AIとかは特にやらないけど」という人ならこちらになります。このスペックはCPU性能も良いので、DTMや動画編集などでも十分使えます。
【RTX 4070 Ti】2023年のミドルハイスペックとしておすすめ【予算30万円】
GPU:RTX 4070 Ti 12GB
メモリ:16GB DDR4
ストレージ:1TB(Gen3) NVMe SSD
2022年秋に登場した最新世代のグラフィックボードがRTX 40シリーズです。その中でRTX 4070 Tiは価格と性能のバランスが良く、30万円くらいまでの予算であればおすすめしたい一台です。
2023年に登場したハリー・ポッターの世界観を楽しめる「ホグワーツ・レガシー」において、鏡面反射などのリアルな描写を行う「レイトレーシング」を行いつつ、快適に動かせる性能を持っています。
RTX 4070 Tiを持っていれば今後ホグワーツのように「かなり重いゲーム」が登場した際に、スペック不足を気にしなくて済むでしょう。また、MODなどを利用してゲームを楽しむ際にも余裕のあるスペックです。
VRAMは12GBあり、量としてはRTX 3060 12GBと同じです。しかし、RTX 3060 12GBがGDDR6タイプのVRAMであるのに対し、RTX 4070 TiはGDDR6Xというより高速なVRAMを搭載しているため、グラフィックボードの処理性能は格段に上です。
【RTX 4090】AI、機械学習、VRに4Kと何でも出来る最強クラス【予算60万円】
CPUもグラフィックボードも最高クラスを搭載するraytrek 4CZZは、ゲームやAI関連で現行最高峰のマシンです。
コンピューターに関わることを何でもできるため、PCの経験値を積んでいくための最高の環境だと言えます。
たとえばStable Diffusionなどの画像AIで高解像度の画像を出せるかどうかはVRAM量にかかっています。VRAMは絵を描くキャンバスの広さです。RTX 4090は24GBのVRAMを持っていますが、これは一般的なミドルグレードである8GBの3倍に相当します。
PC用VRに関しても、VR専用につくられたわけではないタイトル(Assetto Corsa/ MSFSなど)はかなり重いので、RTX 4090クラスがあると動作に余裕ができます。VRChatなど、不特定多数の人(描画データ)が多く入ってくる環境でも、VRAMを大量に使う可能性があります。
CPU性能の高さはゲームを高いリフレッシュレートに持っていくことはもちろん、ビッグデータを扱う情報分析や、映像編集などでCPUエンコードをする際の処理時間短縮に役に立ちます。
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