黒い砂漠プレイヤーから見た「モンハンワイルズ」の感想。3Dアクションのそれぞれの魅力
最近話題の「モンスターハンターワイルズ」をPC(Steam)版でトロコン(全実績クリア)までやってみました。
筆者は3Dアクションで言えば「黒い砂漠」の戦闘が好きですが、モンハンもまた違ったテーマでアクションを描いているので面白かったです。
今回は、どちらにも共通する「3Dアクション戦闘」「オンライン対応」「フィールドでの狩り」といった観点で比較してみました。それぞれのゲーム設計の違いや、楽しみ方の本質が見えてきます。
Contents
操作系の違い
黒い砂漠とモンハンワイルズは操作するデバイスや速度感など、フィーリングが全く違うゲームです。
項目 | 黒い砂漠 | モンハンワイルズ |
---|---|---|
操作インターフェース | PC向け(キーボード&マウス主体) | CS向け(ゲームパッド主体) |
戦闘アクションの特徴 | 高速コンボ、レスポンス重視 | リアルな重量感、先読み重視 |
視点 | 背面を維持(TPSスタイル) | 360度 |
PCゲームとCSゲーム、それぞれの系譜
黒い砂漠はPC向けのMMORPG+アクションゲームです。基本的にキーボード&マウスに最適化されたインターフェースを持っています。複数のウインドウを立ち上げて、様々な情報をチェックしながらマルチタスクに遊ぶようなUIになっています。Windows上でエクスプローラを開きつつ色々作業をするようなイメージですね。
モンハンワイルズは、CS機(コンシューマー機)向けのアクションゲームです。ゲームパッドでプレイする時の利便性を最優先して作っていることがわかります。とはいえ、キーボードで問題なくプレイできる調整になっており、本当にCSのことしか考えてない感じのゲーム国産ゲームよりはかなりマトモです。
というわけで、個人的には弓やボウガンなどの精度、傷口破壊などのしやすさも考えてキーマウで遊びました。ワイルズのキーマウ用の詳細なコンフィグについては以下の記事で紹介しています。
レスポンス重視 vs 読み重視のアクション設計
黒い砂漠の戦闘は「爽快感重視」です。敵の攻撃の直前までコンボを続け、瞬間対応で攻撃を避けることができます。プレイヤーの考える速度にキャラの速度が割とついてくるゲームです。技の種類もかなり多く、コマンド入力によって何を出すかを決めていきます。基本となる雑魚狩りでは、敵の動きはそこまで複雑ではない点がMMORPGな感じですね。前方ガードやスーパーアーマースキルを繋げながらガンガン攻撃し、素早く倒すことがベストソリューションになります。
モンハンワイルズの戦闘は「読みや打撃のバランス重視」です。敵の攻撃パターンを読みつつ、攻めすぎないバランスが重要です。「人間が巨大な武器を振り回したらどうなるか」を感じられるような、ある程度リアルな速度と重量感で戦闘を描きます。また、太刀などは「コンボとしての回避」が特徴です。攻撃→回避技→攻撃のような構造になっていて「攻撃をしないと回避技が出せない」という面白い構造になっています。砂漠のようなクイックな回避ができないので最初はイラっとしますが、ちょっと抑えめに攻撃するのがポイントです。
視点の違いがゲーム性の違いを生む
モンハンワイルズはカメラを動かさずに前後左右に自由に移動することができます。WASDで入力した方にキャラが動く、3Dアクションによくあるスタイルです。
対して、黒い砂漠のキャラ移動はTPSゲームのような形で、走れるのは前方だけです。「マウスのふり向きで横や後ろを向けばいいじゃん」というスタイルです。カメラ手前に走ることは出来ませんし、横に走る事も出来ません。なぜそれで済むかというと、前方ガードやSA、無敵スキルが優秀で、そもそも敵に背を向けて逃げることが少ないからでしょう。マウスのホイールボタンを押し込むことでカメラだけを分離して回転させることはできます。つまり、「正面に走りながら首を左右に向けられる」という感じですね。
3Dアクションとしてのキャラ移動と視点はモンハンワイルズの方が一般的ですが、プレイヤーキャラとの一体感や臨場感は黒い砂漠の方が感じられます。この辺は甲乙つけがたい所。
運営型MMORPGと売り切りアクションとしての根本的な違い
項目 | 黒い砂漠 | モンハンワイルズ |
---|---|---|
マルチプレイ形式 | 常時オンライン、MMO形式 | ソロ進行、クエスト単位のマッチング形式 |
ゲーム内目標 | 自由で広範な成長や資産形成 | 狩猟ターゲットごとの明確な目標 |
黒い砂漠は、MMORPGとして長期間楽しんでもらう目的のゲームです。売り切りの「モンハンワイルズ」もオンラインアップデートなどはありますが、やはり基本的な盛り上げ方が違います。
モンハンワイルズは「短い時間でモンスターを効率よく倒せるようになること」が成長の証です。クエストは慣れない序盤こそ失敗したり時間切れになることもあると思いますが、慣れればシンプルにタイムアタックゲームです。モンスターを何度も倒すことで相手の動きなどを覚え、最小限の回避でゆったりした武器の攻撃を無駄なく当てていくことを目指します。一応、トロコンという終わりがあり、装備集めも終わりがあるので、上手い人ほど早くゲームが終わります。終わってしまって暇になったプレイヤーは「他のプレイヤーを助ける」というプレイを楽しみます。自分と同様にトロコンを目指すプレイヤーを助けることは善意として受け取られやすく、ちょっとした優越感も感じられるプレイスタイルでしょう。
黒い砂漠は「お金やアイテムの獲得量が増えること」が成長の証になります。ゲーム内の経済があり、自分でアイテムを獲得するほかに、「取引所」で他のプレイヤーとの売買ができるため、モンハンよりお金の価値が重いです。インフレがゲームの根幹にあり、プレイヤー同士が競い合いながら多くの稼ぎを上げることを求めていきます。お金を稼ぎながら装備を整えて、時間あたりにより多くのお金を稼ぐことが目的の一つになるわけです。戦闘だけではなく、生活コンテンツを中心にプレイすることもできますが、生活も最終的には金策につながるコンテンツが多いです。コンテンツ自体もプレイヤー自身が「今日はここまで」としないと終わらない、明確な終わりのないものが多いです。なので、成長を目指す人はひたすら成長に繋がるコンテンツをやっていますし、「このくらいで成長はいいか」と自分で思ったら、気分転換やエンジョイに繋がる要素に時間を割くことになるでしょう。
キャラと武器の違い
モンハンワイルズは、武器を作りまくるゲームです。1キャラで14種類の武器のうち2種類を携行して狩りに出かけます。ぶっちゃけ本作は好きな麻痺武器一本を育てていけば余裕でクリアできてしまうのですが、タイムアタックとなれば別で、もっと火力が出る装備を作ることになります。セクレトというダチョウのような鳥に武器一本を積んでおき、必要に応じてセクレトを呼び出して持ち換えます。この切り替え方、リアルな感じで結構好きです。今の武器に飽きたら別の武器を作る感じ。
黒い砂漠は、クラス(キャラクター)ごとに使える武器が決まっているので、キャラを作りまくるゲームです。成長して「伝承」になれば1つの武器、「覚醒」すれば2種類の武器を切り替えて戦うことができます。覚醒の場合、覚醒武器がメインであり、狩りにおいてはメイン武器の出番はそこまで多くないでしょう。補助的な役割やコンボを繋ぐためのものとして利用することがあります。遠距離と近距離の武器の組み合わせを持つクラスは少ないですが、レンジャーやコルセアの覚醒などは遠近両用の特性を持っています。武器切り替えは攻撃コンボ内に組み込まれているので一瞬であり、プレイヤーが「こうしたい」という希望に即座に応えてくれます。
フィールドの作り方の違い
黒い砂漠もモンハンワイルズもフィールド上で戦闘をしますが、そのマップの作り方や目的も明確に違います。
造形と目的の違い
モンハンワイルズは、個別のフィールドを細い通路で繋いだようなマップ構造です。各マップも2~3層以上の立体的な構造になっていたり、拾える植生などが点在していたりと、複雑なマップになっています。乗り物である「セクレト」に乗ってマップ上を移動する際の自由度はそこまで高くなく、シンプルです。移動時間は、道中のアイテムを拾ったり、武器を研ぐメンテナンス、周囲のモンスターの状況把握などをする時間として使います。オープンワールドのような雰囲気も持っていますが、クエストを受けた状態で別地域には移動できないので、事実上クローズドなフィールドで戦うゲームです。
黒い砂漠はオープンワールドゲームです。ただ、PvE戦闘に関してはかなりクローズドで、モンスターは一定の地域から離れることはありません。それは、サーバー上でモンスターが同期している関係で、ずっとトレインしたりすると狩り場がごちゃごちゃになってしまったりするから…といった都合もあるでしょう。地形自体はリアルな地形を描こうとしていることを改めて感じます。広大な大陸を用意し、その中に街が点在し、森や渓谷、川や海があるので、自然な感じがします。また、黒い砂漠の世界は箱を積み上げたような「ボクセル(Voxel)ベースの当たり判定を持っていて、どこでもよじ登りや寄りかかり、腰かけといったアクションができる点に移動の自由度を感じます。
戦闘の違い
カーレースで例えると、ラリーとサーキット周回のような違いがあると思いました。
まず、モンハンワイルズは、予測不能な大自然を駆けるラリーのような狩りです。ボスの一頭狩りが基本ですが、ボスはダメージを受けると逃げるので、戦闘ステージが変わります。逃げた先には別のモンスターがいることもありますし、天候によって考慮すべき点が異なります。
対して、黒い砂漠の主な狩りは、安定したサーキットを巡回するレーシングカーのような狩りです。1時間周回戦闘を続けての狩り場の稼ぎを競う文化があります。黒い砂漠でも、昔は大きなマップを活かした移動狩りがメインだった時期がありました。しかし、登場するクラスによって機動力=狩り効率に差が生じたため、段々エリア内を小さく移動する程度で済む狩り場がメインになっていったように思います。プレイヤーは装備を十分に整えた上で、基本的には同格~やや格下くらいの雑魚敵を乱獲するスタイルでお金を稼いでいきます。短距離移動と戦闘のコンボを素早く繰り返す必要があるので、効率を出すには自分のキャラの技やそのつながりをよく知っていることが重要になります。
それぞれのゲームの魅力
モンハンワイルズ
モンハンワイルズはボリュームが少ないと言われますが、売り切りゲームとして「クリアの区切り」を随所に設けているので特にそう感じやすいのだと思います。
ストーリーのクリアならカットシーンを飛ばさずで10時間くらい、上位のクリアなら50時間くらいでいけそうですが、各マップの生態系などを調べたりといった要素や、全ての武器を作ったり使いこなせるようになるといった目標を持つなら、200時間以上のボリュームがあると思います。
「ストーリーより早く戦闘をやりたい」という感想はぶっちゃけよくわかりますが、クリアした後は「ストーリーもうちょっと良く知りたいかも」と思う所はあります。
私のトロコンは190時間でしたが、実際放置して記事書いていたりもしたので、実プレイはもうちょっと短いですね。トロコンを目指そうとした上で「のんびり遊ぶ」のと「効率を求めて協力する」の両方を味わえたので、やってよかったなと思います。国産アクションとして一度はプレイしてみてほしいタイトルです。
黒い砂漠
黒い砂漠については明確なクリアがないゲームで、「これをやろう」といったゲーム側からの働きかけは強くないのでマイペースに遊べます。つまり、何をやっていいかわからない、目的を見失ってしまうプレイヤーも発生しやすくなるところはありそうです。一応、ざっくりとした装備の成長ステップは以下の記事にまとめているので参考になれば幸いです。
モンハンでさえストーリー部分に「やらされ感がある」と言われて低評価を受けていましたので、黒い砂漠もストーリー部分はそんな感じなところはあると思います。ストーリーに興味がない人はR連打やスキップで通過でもいいかもしれませんが、最近は序盤のストーリーもリメイクされて奥深くなっているので、1キャラくらいはやってみてください。
あとはやはり、MMORPGとしてのスケールの大きさです。戦闘コンテンツはもちろん、生活・生産コンテンツも充実していることから、チャットなどをしながらのんびり生活コンテンツを楽しむ人も多いです。衣装の着せ替えやキャラメイクを楽しむ人やプレイヤー間の交流を中核にしている人もいます。あとはやっぱり取引の経済があるのってすごいなと。相場のチャートまでありますからね。10年のアップデート期間を経て、戦闘、生活を含めて総合的な攻略を楽しめるワールドクラスのMMORPGであることに違いはありません。私の接続時間は6万時間を超えました。
記事の内容は執筆、更新日時時点の情報であり、現在は異なっている場合があります。 記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
【今日のおすすめ】

【auひかり】最大10Gbpsの超高速通信!最大126,000円還元キャンペーンキャッシュバックで初期工事費も実質無料!