GeForce NowってPlayStation Nowみたいなもんでしょ?と思ったら大分違った
2021/05/24
クラウドゲームサービス「GeForce Now Powered by Softbank」のクローズドベータに参加してきました。
私はこの手のサーバサイド・ゲーミングサービスとしては、PlayStation Now(以下 PS Now)を遊んだことがあります。
PS Nowと比較すると、GeForce Nowは色々と先進的だったので、どんな感じかをお伝えしたいと思います。
Contents
例えるなら「ネット上にあるネットカフェ」
GeForce Nowを一言で表現するなら「遠隔ゲーミング」と表現するとわかりやすいでしょう
サーバー側でゲームを処理して、その映像データが送られてくるので、それに対してコントロールを返す…という流れでゲームをします。
ゲームは別売りです
色々なゲームで遊べるんですけど、PlayStation Nowのように「定額でこのゲームがすぐに遊べますよ」というタイプのものではないんですね。
NVIDIA自体がゲームタイトルを提供するわけではありません。
- ネット越しにあなたに割り当てられた仮想PC的なものがある
- そこにアクセスし、SteamやOriginなどのプラットフォームにログインする
- 対応しているゲームをライブラリに追加する
- 遊ぶ
という形になっています。
GeForce Nowは「こういうタイトルが遊べますよ」とタイトルを表示します。
ここで私が所持していないSEKIROを選ぶじゃないですか。
そうするとSteamの販売ページに行きます。そう、Steamでそのタイトルを持ってないと遊べないわけですね。
Steamで既に買っているACE COMBAT 7は遊べたのでやってみました。
初回は仮想マシンにインストールからしないといけないです。ここがやや面倒と言えば面倒です。
つまり、ネットカフェのPCを遠隔で使うようなイメージに近いですね。
気になる遅延について
クラウドゲームサービスの仕組みとしては
- ゲーム映像がサーバーからられてくる
- それを見て操作情報を返す
- サーバーが処理する
という流れであるため、どうしてもわずかな遅延は避けられません。
しかしながら、PS Nowと比べると明らかに感じられる遅延は少なくなっています。これは結構衝撃です。
有線PCでのプレイ感
画質についてはやはり圧縮画像だな~と言う感じのノイズ感はしますが、それでもテキスト系はちゃんと読めるレベルです。
仕様としての最高解像度はおそらくFHD/60fpsです。
PCでの有線接続の場合は私としては許容できる範囲の遅延にとどまっていて、これはどういう理屈なんだ?と思ってしまうほど快適です。
ただし、スマホでプレイ時は要注意。十分な帯域が得られなかったためか、それとも仕様なのか、720p60fpsに設定が下がりました。
残念ながら家庭で2.5GHzのWi-Fiに接続しているスマートフォンでは0.5秒くらいの遅延が常に続いてしまいました。
モバイル用に圧縮したり画質調整していることでレイテンシーが発生しているのかもしれません。
5GHz接続の場合は割と安定していましたが、フライトシューティングなどのアクション性の強いゲームはちょっと実用レベルに至りませんでした。
屋内Wi-Fiは相当高速で安定していればいけるのかもしれませんが、屋外のモバイル通信で遊べる通信環境やゲームジャンルはかなり限られそうです。
それに映像をずっとストリーミングするわけなんで「ギガが減る」(通信量が増える)のは間違いないっす。
操作面の問題
遅延があっても気にならないゲームをやったらいいのでは?というわけで、ターン制シミュレーションゲームのCiv5をやってみました。
「マウスとキーボードを繋いでください」と言われたのでBluetoothのキーボードとトラックボールを接続したのですが、右クリックが効かない。
そう、Androidには右クリックと言う概念がありません。長押しはあるけど。
この問題があって右クリックを使うゲームはプレイできなそう。Apexも右クリックが出来ないのでパッドじゃないと無理でした。
メリットと懸念
メリット
- ゲーミングPCがなくてもPCゲームをプレイできる
- ゲーミングPCに近い美しい画像が出せることもある(主にPC環境で)
- ネット環境が良ければ遅延は少ない
- 利用端末側は映像を受けるだけなのでゲームをインストールしなくていい
- 持っているゲームやそのクラウドセーブデータがそのまま使える
- 構造上チートが出来ない
懸念
- ゲームが快適にプレイできるかはネットワーク接続速度に全て依存する
- 画質設定は1080pが上限
- 144Hzなどのハイリフレッシュレートに対応しない
- 実機の美しさまでは出ない
- 外出先でどこまで快適に遊べるか怪しい(5Gが普及すればワンチャン??田舎は???)
- どんなPCゲームでもプレイできるわけではない
- 設定を細かく自分でいじれない
- 画質を向上させるMODなどは無理
- モバイルでもキーボード&マウスを使えと言われたりする
- モバイルで右クリックが出来ない(致命的)
通信環境と操作系がネック
NVIDIAが作りSoftbankがサービスするだけあって、ゲームプレイ自体は予想以上に品質が高いものとなっていました。それは確かです。
マジでゲーミングPC要らなくなる!?と一瞬思いました。
しかし一瞬でした。
まず利用者側の環境は「なんでもいい」とはとても言えなくて、特に通信周りの要求スペックが高めです。
家で使うにしてもプロバイダ契約 > Wi-Fi-ルータ > プレイ端末のすべてが高速で安定した通信品質になっていることが必要になります。
そして、通信品質って中継経路や時間帯によっても変わってくるわけですよ。それに対してフレキシブルにGeForce Now側は対応するんだけど、つまり「ゴールデンタイムは低画質」とかいう可能性が出て来るわけです。
これ自体はもうユーザーではどうしようもありません。
据え置き有線PCや、MIMOで1Gbps以上の無線LANをしっかり維持できるルータなどを整備した家庭じゃないと、全力で遊ぶのは厳しいでしょうね。
ゲーミングPCでれば「回線調子悪いな、オフゲでもしよ」ができるわけですが、GeForce Nowではネット速度が出ない時は何も出来ないことになります。
あとはPCゲームの神髄とも言えるハイリフレッシュレートに対応できなそうなところもちょっとつらい。MODも使えない。
スマホなどのモバイル環境でゲームしたい場合はゲームパッドやキーボード&マウスなどの入力装置を持ち歩かないといけない上に右クリックが使えない。
後は対応タイトルがどんなもんかですね。
例えばメジャータイトルでもMHWなどは対応していなかったし、マイナー作品ほど対応しない可能性はあるんで何とも言えねえ感じがあります。
…こんな感じで、システムの根幹は良いものの、ゲームプレイに重要な操作周りやタイトル受持都度などはまだまだこれからというのが正直な印象です。
「ノートPCでちょっとゲームをしたい人」が一番使えそう
現状で最もGeForce Nowのシステムを活かせそうなのは、宅内でノートPCなど「グラフィックボード非搭載PC」を光回線以上で利用する場合ですね。
それでいて、PS4よりもう少し滑らかなゲーム体験がしたい。そう、30fpsのPS4よりは良いと思うこれはマジで。
ただ、NVIDIA自身が広報しているように「フレームレート(fps)が高いと有利」なので、シューター系などのタイトルはGeForce Nowの60fps環境で満足できるか?というと難しいかも。
GeForce Now Powered by Softbankを楽しめる人は?
- ほどほどのフレームレートがあれば出来るゲームを低スペPCでプレイしたい
- ゲーミングPCを買う前に、代表的なPCゲームを遊んでみたい
- ネット回線は割とちゃんとした環境がある
- グラボが壊れたので、環境が整うまでの繋ぎがほしい
このあたりのニーズには対応できると思います。
GeForce NOW Powered by SoftBank
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