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「AI版ポートピア」がSteamで「非常に不評」なのでやってみた

   

ChatGPTなどで世はAIブーム。SQUARE ENIXは1983年の名作ADV「ポートピア連続殺人事件」をAIが入力サポートする仕様にして「SQUARE ENIX AI Tech Preview: THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE」をリリースしました。

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しかし、Steamでのユーザーレビューはまさかの「非常に不評」に。なぜそうなってしまったのかを考察したいと思います。

「ポートピア連続殺人事件」のシステム

まず、オリジナルのPC版が登場したのが1983年だそうです。

オリジナル版は「キーボードからのコマンド打ち込み式のアドベンチャーゲーム」となっています。相棒の「ヤス」に提案をしながら進めていきます。

例えば、「新開地」という場所があり、そこに行くためには「シンカイチ イクンダヨ」(新開地行くんだよ)という風に、プレイヤーが自分でその命令文を入力する形となっていました。

しかし「シンカイチ イカナイカ」だとダメだったわけです。一言一句、ゲーム側が用意した文言に合っていないとダメで、表現のゆらぎなどを吸収する能力はありません。

意味が同じでも言い方が開発者の想定したフレーズと違ったらアウトだったわけです。

この「フレーズ当てゲーム」にプレイヤーの労力を割かせるのは厳しくなり、コマンド式ADVが主流になっていったというわけです。

しかし、最近は自然言語処理によって、私たちユーザーが言うことをいい感じに処理できるようになってきました。SQUARE ENIX AI部はそれがADVゲームにも活かせると考え、2022年11月に行われたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC+KYUSHU」にて、NLPを利用したアドベンチャーゲームの制作手法を紹介していました。

 

何にAIを使っているのか?

AIを使う部分が2つあることが公開されれており、どちらも注目されていました。

  1. ユーザーの入力した言葉を理解する「自然言語処理」 (NLU)
  2. 1を元に、キャラクターが返答を生成する「自然言語生成」(NLG)

1の「NLU」は、入力した言葉が一言一句合っていないとダメだった従来の「ポートピア」に対し、だいたい意味が通じればAIが汲んでくれて、それをゲーム側に渡してくれる機能です。これは、以下の公式動画を見ても確認できます。

 

そして、入力された言葉に対してAIが柔軟に返答を生成する機能(NLG)も用意されていましたが、以下の理由で非搭載となっています。

本テックプレビューでは、自然言語生成(Natural Language Generation)による
雑談会話機能を有していましたが、AIの非倫理的な発言の可能性を考慮し、
NLG機能は削除された状態でリリースされています。

https://www.jp.square-enix.com/ai-tech-preview/portopia/jp/

 

何が不評の原因だったのか?

大きく分けて3つだと思います。

  1. NLGの搭載をユーザーがかなり期待していたこと
  2. 元の古いゲームシステムがそのままで扱いづらいこと
  3. 言語認識の精度が今一つであること

(ChatGPT並の)NLGの搭載をユーザーがかなり期待していたこと

まず、NLGの凄さはすでに多くの人が知っています。ChatGPTが2022年11月にリリースされたからです。

ChatGPTを利用した会話ゲームのようなものを個人制作できる時代になっています。そしてそれらの評価ポイントはNLPとNLGの融合でしょう。

 

「ポートピア」はストーリーがあるADVなので、「正解」を見つけないと次のステップに進めないタイプのゲームです。そのため、間違ったキーワードなどを入れた時が問題です。AI搭載ならば、人間相手に話す時のように「それっぽく」返事をして、それが誤りであることを示すような回答をしてほしいところです。しかしながら、AIによって返事を生成する時に「誤った内容」を生成してしまうことを懸念したため、テックプレビューではAIが返事をする機能そのものを搭載しませんでした。ユーザーとしては相棒の「ヤス」と自然な会話をしながら謎解きを進められると思った人が多かったのか、この点はかなり不満だったようです。

現状では意図せぬ発言に対して、AIによって柔軟に返答するNLG機能がない

 

元のゲームシステムがそのままであること

本作はAIアシスタントが働いたポートピアであり、それ以上のものを目指して開発されていません。

コマンド当てADVゲームである「ポートピア」の元のゲームシステムがそのままであり、ノーヒントのまま妥当な単語を入力しないと進めることができないため、難度がかなり高くなっています。

なので、「ポートピア」の基本システム自体の古臭さを「おすすめしない」と評価してしまった人も少なくなかったと思います。開発からするとそこはテックプレビューの本筋ではないとはずですが、「AIを搭載したゲーム」と言われると、一般人としては色々と洗練されたものを想定してしまっても仕方がないかもしれません。

言語認識の精度が今一つであること

更に、入力するテキストの判別(NLU)がやや怪しく、誤認するようなケースもたまにありました。これもまあ、現状はそんなものだと思います。

ChatGPTではなく「ローカルで自然言語処理」を処理している点を評価したい

正しく評価するための重要なポイントがあります。「AIポートピア」はローカルゲームです。AIによる言語処理も「ローカル処理」なのだそうです。ChatGPTを使用していません。

ChatGPTのようにOpenAIのサーバーに接続するAPI型にすると、サーバー側の都合で出力が安定しない可能性もありますし、使えば使うほどAPI料金がかかってしまいます。ゲーム開発などの社外秘情報をOpenAIに渡すことに対して問題があると考えるメーカーも多いでしょう。これらがあらゆる業務系でChatGPTが使いづらい原因のひとつです。

そのため、ローカルに情報を詰め込んで実行できるゲーム用の小規模な言語処理AIの開発が急務となっています。

つまり、SQUARE ENIXが日本語に対応したローカル用の自然言語処理AIに取り組んでいる点だけでも私は高く評価したいのです。

音声入力に求められるハードウェアスペックの高さ

また、本作は「音声入力」に対応していて、利用する場合はその要求スペックの高さも注目ポイントです。

Voice Input (Speech To Text)利用時はCUDAコアが必要になります。
(*1) Voice Input設定 ”Medium” 使用時はVRAM 8GB以上必須。
(*2) Voice Input設定 ”High” 使用時はVRAM 16GB以上必須。 プレイにはキーボードおよびマイク必須。

Steamページより

Voice Input HighではVRAM 16GBのCUDAコア搭載GPUが必要で、つまりRTX 3090やRTX 4080あるいはRTX 4090が必要なことになります。

Mid QualityならVRAM 8GBで試せる

 

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High Qualityで試すと13GBほどのVRAMを利用していました。確かに16GBのVRAMが必要そうです。

右Altキーを押しながら「新開地に行こう」などと喋って右Altを離すと、すぐに日本語が認識されてゲームに伝わります。これによってキーボードで打つよりも速いテンポで捜査を進められる点は良かったです。

ただ、一般的な語句であれば正常に認識しますが、キャラクター名などの認識率があまり良くありません。例えば「耕造」というキャラクターがいますが、自動変換で「構造」になってしまうので正しく判定されないわけです。入力したフレーズをゲーム用に変換する工夫が必要だと感じます。

感想

Steamでの本作評価に関しては、開発者とプレイヤーの温度差や着眼点の違いが露骨に出てしまっていると思います。プレイヤーが望む「AIゲーム」のレベルがChatGPTのおかげで相当高くなってしまっていることは事実でしょう。あくまでもコマンド当てがAIで少しサポートされる程度の現状は、ゲームとして考えると古臭く感じ、新たにプレイしてみる価値はエンドユーザーとしてはないかもしれないです。

一方で、テックレビューとしてとりあえずユーザーに公開してみようという姿勢は素晴らしいと思います。ある程度の日本語理解をしてくれるとは言え、日本語を扱えるローカルAIの環境はまだまだこれからだということとがわかりました。「AI技術のひとつである自然言語処理(NLP)を学習・体験するソフトウェア」という役目は果たすと思います。無料なので興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

 


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