自作PCはトラブルが起きると面倒だという話。
ゲーミングPCなどを手に入れる手段は大きく分けて2つ。
パソコンショップで完成したPCを買う方法と、パーツ類を揃えて自作する方法です。
自作PCをやる人は「メカニック」と表現することが出来るでしょう。
自分で理想のマシンを作り上げることに興味があったり、何が何でも最高のパフォーマンスを引き出したいという人は、自作PCに向いています。
その分、試行錯誤が求められたり、多大なコストを支払わなければならないこともあるため、「ただパソコンを使いたい」という場合には、自作は向かないこともあります。
本記事では自作PCの本当のリスクを書いていこうと思います。
Contents
自作PCは「組むだけなら」簡単
自作PCを組むだけならそこまで難しくありません。各パーツは規格化されており、大体の場合はすんなりはまります。
では、どんな時に大変なのかというと、組んでいる途中や組んだ後で何らかの不具合に遭遇した時です。
- 組んだのに電源が入らない
- 勝手に再起動する
- ケースに対してケーブルの長さが足りない
- ケースの精度が悪く上手くパーツが固定できない
- コネクタが微妙に硬い、緩いなどの初期不良がある
などなど、自作PCではこういったよくあるトラブルにどう対応するかがポイントとなります。
パソコンのトラブルはいつ起きるか
パソコンが故障するタイミングは、3つのタイミングで分けて考えることが出来ます。
- 初期故障:組んだ直後からの故障。初期不良など。割合として多いと言われる。
- 偶発故障:使い始めてしばらく経っての故障。保証期間内など。割合としては少なめ。
- 摩耗故障:製品の耐用年数などが過ぎてからの故障。長く使うほど増えてくる。
やはり最も多いのは初期不良でしょう。ガチャでSSRを引くのと同じくらいの確率だと思いますが、それでも当たる時は当たります。
BTOパソコンの場合、まずはパーツメーカーがパーツの検品を行って出荷し、その後、BTOパソコンメーカーがパーツを組み上げ、パソコンとしての最終的な動作チェックを行ってからユーザーの元へ出荷します。
対して自作PCの場合どうかというと、パーツごとのメーカーの検品だけしか行われず、組んだ後の最終チェックはパーツを組み上げた後、ユーザーがやることになります。
このため、自作PCの方がどちらかというと、初期不良に当たる可能性は高いのではないかと考えられます。BTOパソコンも組み上げている時に不良が出るでしょうが、それを弾いてから出荷しているわけですので、すんなり動くことが多いです。
また、数年経ってからの摩耗故障時もトラブルが多いです。自作PCユーザーには「古いパーツ」でまだ行けそうだと思うと新しいパーツと混ぜて使う人もいるかもしれませんが、その時、トラブルが起きることはありますね。
この時、製品保証の違いが出てきます。BTOパソコンの場合、パソコンというパッケージ全体を動作保証しますが、自作PCの場合はパーツ単位の保証となっているため、どこが悪いのかわからないと保証があっても活かせません。
自作PCの調子が悪い時の「支払い」は結構高い
自作PCでトラブルが起きた時、具体的にはどんなコストが考えられるのでしょうか。私は大きく分けると、以下の4つに分類できると思います。
- 動かない理由を突き止める時間的コスト
- 代替パーツを用意する金銭的コスト
- 送料・テスト費用などを負担するコスト
- どうしても自分の手に負えない場合に生じるコスト
なんにしても「こうすれば大丈夫」という確証のない中でトラブルに対応するわけですから、解決のための「時間」はもちろん、「お金」もかかることを覚悟する必要があります。
換えのパーツを購入しないとテストも出来ない
不調の原因を突き止めるためには交換パーツを用意する必要があります。
このため、自作PC歴が長いユーザーは、結局PCの予備パーツをいくつも保有することになります。
一つ一つパーツを買い足して交換をしているうちに、2台分のPCを保有するくらいの金額は支払っていたりもします。
ここまで来ると「出来上がっているPCを買っておけばよかったのでは?」と思うこともあります。
「10年保証」は10年壊れないわけではない
電源ユニットなどを単品で買う場合、10年の保証がついている製品などがあります。これを見て「BTOより保証が長いじゃないか」と思いますよね。
これは決して、「10年間壊れない」というわけではなく「10年の間はユーザー過失でなければ交換保証しますよ」というだけの話です。ヘビーユーザーなら数年で壊れると思ったほうがいいです。
それでいて「間違いなく電源の故障だ」という見立てをするのは、結構難しいです。適切なテストケースを立てなければ電源にたどり着きません。
例えばこういった、電源用の単体チェッカーで最低限の動作を確認することは出来ます。しかし、これで異常がない場合もあります。ケースに入れると動かない場合があるためです。ケースからマザーボードへスイッチのケーブルが伸びているわけで、そこの接触や断線などの異常も考えられます。
そのため今度は、ケースの電源スイッチの代わりに、こういった電源スイッチの代替部品を使って、マザーボードや電源に異常がないことを確認するわけですね。
ゲームの場合、グラフィックボードも不良原因として考えられるため、グラフィックボードを変えるか、あるいは別のPCにそのグラフィックボードを積んで異常のないことを確認する必要があります。
こんなことを色々やってるうちに休日が潰れます。面倒で仕方のない作業です。
このため、自作PCの場合、「電源がそろそろ故障かも」と思ったら、詳細なテストをするよりは「新しいものを買う」という解決方法になることが実際のところ多いでしょう。
壊れた電源ユニットは輸入代理店などの保証元に送って新品交換を依頼することになりますが、電源不良に違いない場合でも「修理」扱いとなり、片道送料を取る場合もあります。更に、すべてのケーブルが揃っていないと受け付けてくれません。
こういったハードルの高さもあり、実際に壊れても修理に出される割合はそこまで高くないと考えられるため、「10年保証」が出来るのだと思います。
「パーツ箱の山」と暮らす
つまり、自作PCをやる方は、いざという場合に製品保証を受けることを考え、あらゆるパーツの箱と付属品を取っておくクセがついてきます。
そうすると、それらを保管する場所も必要です。クローゼットなどが本当にパーツ箱の山になるでしょう。
広い家なら良いですが、ワンルームだとあまり見栄えのいいものではありません。オタク全開で散らかった部屋になりがちです。これが隠れた(というより物理的に隠しきれない)自作PCのコストです。
パーツを組み替えるだけで数時間~数日かかる
最初のうちは、組んだパーツを取り外して交換するだけで半日かかることもあるでしょう。
分解して散らかったPCを見ながら一息ついていると、「本当ならこの時間にゲームをしているはずなのになあ」と思ってしまいます。
直すまで故障したPCは使えないので、直るまで時間とお金を投資するしかありません。
そして、更に最悪なのは、故障かどうかの検証用パーツまでハズレを引いた時です。
交換したパーツや検品用のツールが不良品であるなんてことは、誰も考えたくないでしょう。しかしそういう可能性もちょっとだけあるわけです。
それはもうAmazonで製品へのネガティブレビューを書きたくもなりますよ。
検証中に本当に壊してしまうことも?
パソコンのパーツは安全性などのために硬く、きっちり固定されているパーツが多いです。特に電源ユニット周りは故障しやすい上、取り外すのに苦労します。
ネジが付いていることに気づかなかったり、ストッパーで止められていることに気づかなかったり、力でなんとかしなければいけないのか、それとも外し方にコツがあるのかわからなかったりします。
うっかりマザーボードごと破壊してしまったら、組み上げたPCにも全部バラして最初からやり直しとなるわけです。
うっかり破壊ではなく「パーツが悪くて取り外せなかった」ということを証明できない限りは、メーカー側も「ユーザー側責任」とするところでしょう。
外す時に手を痛めたり、時間も無駄になる可能性もあります。
このように、自作PCのトラブル解決時に「次のトラブルを呼ぶ」という可能性もある点には、くれぐれも注意が必要です。
「自作PCはもう嫌だ」と思ったら…
こういった自作PCのトラブルが解決できず、「これはもう自分でやるのは無理だな」と思うこともあるでしょう。
自作PCのトラブルの場合にも、ドスパラなどのPCショップで修理サービスを受けることも出来ます。もちろん製品保証とは別のものなので、修理点検費用がそれなりにかかってしまいます。
BTOパソコンの場合は、メーカーに丸投げしやすい
とにかく、自作PCは一度トラブルが起きるとかなりお金と時間がかかるという点で、学生さんなどにおすすめするのは難しいと私は思っています。
その点、BTOパソコンは、「正常に動くPCの構成そのもの」を販売しています。自作PCとは全く意味が違うんですね。自動車をそのまま売っているようなものです。
なので「なんだか動きがおかしいんだけど?」と言えば、保証の範囲内で見てくれます。
BTOパソコンはたしかに、自作PCに比べて自由度が低い点は多いです。
安いPCショップではケースデザインや使用しているパーツなどに選択の余地がありません。
逆に高級ショップだと自由に選びやすい反面、価格がかなり高くなってしまいます。
ただ、今回挙げたような自作PC関連のトラブルを実際に体験すると、BTOなら梱包して送るだけで保証内で診てもらえるありがたさを痛感します。
その間自分は違うことが出来るわけですからね。
「自作PCが簡単だ」と言ってしまう人は、おそらく「運良く」トラブルにあまり当たってこなかった幸運な人が多いのでしょう。
自作PCの本当につらいところは、トラブルがあった時の対応なのです。
故障時対応の違いで選ぶBTOパソコンショップ
ゲーミングPCなどのBTOパソコンを扱っているショップでは、自社製品の故障時対応にもそれぞれ特色があります。
マウスコンピューター、フロンティア、ドスパラの3つのショップの対応を紹介します。
※いずれも執筆時点の情報です。最新の情報はそれぞれの公式サイトでご確認ください。
マウスコンピューター:出張修理サービスが充実
ゲーミングPCブランド「G-Tune」でおなじみのマウスコンピューターでは、PC購入時に「オンサイト修理保証」に入っていると、出張修理サービスが受けられます。
オンサイト修理のメリットとしては、PCを梱包発送しなくても良い点があります。PC自体が重たい場合、力のない人には梱包も一苦労です。その際に落下させてしまって自損扱いになってしまっては元も子もありません。
3年間、出張修理が16500円で受けられるというサービスは、決して高くない、手厚いオプションだと思います。
フロンティア:出張修理もあるが期間が短い
フロンティアでも、オプションでオンサイト修理が行えるオプションがあります。ただ、ゲーミングPCの場合は1年間の保証期間となっていて、マウスに比べるとちょっと弱いかなという感じがします。
フロンティアはセールでとにかく安く売るタイプのパソコンショップなので、保守コストを削っているのかなと思いました。
ドスパラ:パーツだけ送ってもらう「セルフ交換」も可能
ドスパラで販売しているサードウェーブ製PC(GALLERIAシリーズなど)では、「明らかにこのパーツがおかしい」とわかる場合、そのパーツだけ送ってくれる保守サービス「パソコンセルフ修理プログラム」があります。
例えば、明らかにグラフィックボードの異常であることがわかっている場合など、PCに慣れているベテランの人は使いやすいですね。
また、取り扱い不注意で落下させてしまったり、コーヒーこぼしてしまったなど、ユーザー過失となる故障時にも修理をしてくれる、保険のような「セーフティサービス」もあります。
修理はセンドバック(自分で梱包&発送)となりますが、ドスパラのGALLERIAシリーズではRTX 3070以上の重量級グラフィックボードに対しては、必要に応じて「リジッドカードサポート」というグラフィックボード固定ステーで強固に固定されており、輸送時に内部負荷がかからないようになっています。
e-Sportsなど、パソコンの輸送の機会が多いドスパラならではの配慮だなと思っています。
当サイトでもGALLERIAシリーズを30台以上に渡って実機でベンチマークを取ったり、ゲームで遊んでの性能をレビューしています。おすすめのPCなどもまとめていますので宜しければ是非ご覧ください。
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