令和に「首都高バトル」が復活。ありがとう元気、ありがとうトヨタ
Steamでアーリーアクセスが開始された「首都高バトル」をほぼクリアしたのでレビュー。
※ネタバレあり
Contents
「首都高バトル」とは?
「首都高バトル」は歴史あるストリートの走り屋系レースゲームである。
プレイヤーは一人の走り屋として、首都高速を舞台に、(主に国産の)スポーツカーを乗り継ぎながらライバルたちを抜き去って、「最速」を目指す。
そのコンセプトは昔から変わっていない。
そのテーマから、暴走族をイメージする人もいるかもしれない。実際、首都高バトルはもともとアンダーグラウンドな雰囲気をまとった作品であった。
首都高バトル0 (2001、PS2)
この頃までは、一般車(アザーカー)が走る実際の首都高を暴走するというアンダーグラウンドなテーマを扱っていた。
そのため、登場する自動車はあくまでも実車を模したもので、正式なメーカーライセンスを取っていないことから再現上も限界があった。
ただその分、たくさんの車種を出すことができた。400人ものNPCライバルが事細かに設定され、膨大なボリュームを感じられる作品になっていた。
首都高バトル01 (2003、PS2)
風向きが変わったのが後継作の「01」だった。本作は、おっさんゲーマーも、ライバルの「ワンダラー」の設定を作って登場させてもらったことがあり、思い出深い作品である。
01では自動車メーカー各社と正式にライセンスを結び、ゲームのテーマは「クローズドサーキットとしての首都高」という位置づけに落ち着いた。実車をモチーフとした現代のレースゲームとして進むべき道を歩んだのである。
これによって、一般車がセーフティーカーに置き換えられるなどして、猥雑としていた首都高のフィーリングは大きくホワイト化された一方、一部のメーカーとライセンスが結べないなどの「大人の事情」もよく見えるようになってしまった。
しかし、総勢600名ものライバルを登場させ、ゲームボリュームとしては過去最大級のものとなった。
その後、「首都高バトルX(2005、Xbox 360)」を最後に、据え置きCS機ゲームとしての首都高バトルは続編が出てこなかった。
新作「首都高バトル」は過去作の難題を超えた
もう出ないだろうと思われた首都高シリーズが、18年ぶりに、しかもSteamで登場したのだから、世代のプレイヤーとしては注目度が高い。
個人的に本作で気になっていたことがある。
「令和のホワイトな時代に、どれだけ"あの頃"のフィーリングを残せるのか?」である。
またセーフティーカーや整備車みたいなのが走っているのは、今の時代はさみしいなあと思ったわけ。だって、Forza Horizonですら今はアレだけやってるわけなんで。
ただ、Forza Horizonの場合は架空のコースであり、イベント色を強くしているが、本作は現役バリバリのリアルな公道をモチーフにしているので、まだまだ風当たりは強いだろう。
その点でいうと、本作は裏技的方法で、0の頃の賑やかな首都高と、01の持つ正式メーカーライセンスの両方を実現しているようだった。
1. 一般車?いませんよ?全部「競技車両」です
本作の首都高はあくまでも「クローズド・サーキット」である。いかにも走り屋らしい車のほか、「一般車に見える車」も色々と走っている。
しかしこれらは全て「競技参戦車両」であり、バトルができる。これはややギャグ要素にも見せつつ、クローズドサーキットの建前をクリアするための優れた方法だと感じた。
そして、これら商用車を確認してみると、すべて「トヨタ車」である。
社用車やトラックまで手掛けるトヨタが、本作のコンセプトや諸事情を完全に理解してくれたおかげで、令和の首都高バトルの華やかさが実現しているのだ。
よくやった元気!そして、ありがとう、トヨタ!
できればこれらの車両でプレイヤーもレースさせてほしいところである。
2. しっかりしたモデリング。一部は公式エアロパーツも
きちんとメーカーライセンスを取得しているため、今の時代としては当たり前に求められる、説得力の高い車両モデルが用意できている。
また、実在メーカーのホイールが選べるほか、一部の車両は実在するエアロパーツメーカーのエアロパーツを装着できる。(多くの車種には元気のデザインしたパーツがあるが、エアロパーツ自体がない車両もある)
ゲーム性は「首都高バトル」そのもの
権利周りと雰囲気がクリアになったところで、ゲームとしては、首都高バトルそのものの魅力を変えていない点が一番重要なところだ。
車を買い、ライバルと勝負し、勝ったら手に入るCP(お金)でチューンし、車をグレードアップしながらライバルをどんどん倒していく。
コースインしたら、最初は自由にクルージング。ライバルを探して後ろにつき、「パッシング(ヘッドライトをピカピカさせること)」すると勝負が始まる。つまりローリングスタートだ。
画面上部にある「SPゲージ」は、お互いの精神力であり、相手のSPをゼロにすれば勝ちである。
相手に距離を離されたり、壁や車両と接触するとダメージを食らう。
自車と相手の性能差を考えて、コース上のどこから勝負を仕掛けるのかが重要だ。
また、自分の呼ばれ方はB.A.Dという「通り名」のシステムで決まる。走り方のスタイルなどで変わるので、勝ち方にこだわるのも面白い。
パーキングエリアなど、高速ならではのエリアも
首都高速は環状道路になっており、ぐるぐると周回できる。分岐などもあっていつまでも走っていられる面白さがある。
本作には本拠地となる「ガレージ」のほか、休憩スポットとしてPA(パーキングエリア)があるのだが、これがまた良い雰囲気を出している。
PAに入ると、車のセッティングができたり、タイヤ交換、ナイトロシステムを搭載している場合はその補充などのリフレッシュが可能だ。ただ、ガレージに帰る場合とは異なり、補充にはCPがかかる。
PAは実際に車好きが集う場だったりするわけだが、本作ではここを走り屋情報を仕入れる場や、ライバルを探す場、ストーリーの進行場所としても設定している。
これまではキャラクターそのものが登場することがなかったが、本作は過去作で出てきたライバルたちが多く登場し、立ち絵での会話ができる。18年の時を経てもそれらの設定を引き継いでいるあたりはシリーズファンとしては感涙モノだ。
必要最低限のシルエット的なモデルではあるが、逆にこれくらいのほうがゲームデザインに合っているだろう。
各PAには4名のライバルがいて、勝負を挑むことができる。中には特定の条件を満たさないと勝負を受けてくれない「ワンダラー」という属性のキャラもいる。
やたら強いボス「ユウウツな天使」をどう見るか?
ドライビング自体はカジュアルレースゲームであり、誰でも遊べるクイックな操作感を持っている。そのあたりの「名もなき者」を倒し続けるだけでもCPを稼げるので、一見すると緩いゲームに見える。
ただ、これはアーリーアクセス時点だからかもしれないが、途中途中でとんでもなく強いライバル「ユウウツな天使」が登場し、それらを倒さないと車のパワーアップもできないという「壁」が用意されていた。
シリーズでも強めのボスとして登場したキャラで、従来のシリーズを踏襲している。
これがとにかく勝てない。みんな苦労しており、SNSで検索されるくらいには「キャラ立ち」した。
だが、「勝つためのルールしか守らない」というシリーズのキャッチコピーを、そのまま履行すれば勝てるバランスにはなっている。
とあるプレイヤーは「渋滞を引き起こしてそこに突っ込ませる」という攻略をやっていた。私も真似したがめんどくさいので、敵がミスをするまで何度も何度もチャレンジして、スタートが鈍った時にナイトロを炊き、勝負を決した。
これ以外のボスやチームリーダーなどの敵はいい感じの好勝負になることも多かったので、調整次第でもうちょっと良い感じのボスに化ける可能性は十分ある。
簡単な攻略
パワーの高いクルマを選ぶ
相手の後ろから始まるローリングスタート、敵の前に居続けられば勝てることから、とにかく加速重視の車を作ることが大事。
そうなると、基礎性能が高い車が有利だ。とにかく最大出力がデカい車を選ぶのがいい。
PERK
バトルで得たBPのポイントを使って、以下の項目を強化し、車を乗り換えたり強化しながら進めていく。
アーリーアクセスでは「ユウウツな天使」を倒したあとの「12時過ぎのシンデレラ」をクリアしないと、一定以上のマシンやチューンができないので注意。
ドライバーレベル
序盤は攻撃力より防御力を伸ばしたほうが踏ん張りやすい。負ける場合は前に出られない状況がほとんどだからだ。だが最終的には全部取る。
スキル
ホーム画面で1種類のみ装備できる。
基本的には「勝利の美酒」。負けなければあまり付け替えることはない。
- CP稼ぎ:勝利の美酒
- オートランCP稼ぎ:クルージング愛好家(約2分で800CP目安。おまけ程度だが自動金策可能)
- 勝てない時:スタミナ自慢 など
パーク
「新しい財布」のパークは早めに開放していこう。
このゲームは「所持金額」の上限が決められており、「新しい財布」パークで徐々に開放できる仕組みだからだ。
これを上げないと、レースでもらった報酬が無駄になってしまう。早めに開放していこう。最大上限は1500万CPとなっている。
マシン
最初はハチロクだろうが何でもいいと思う。
私は途中はNISSANの「SILVIA K's (PS13)」で、その後はMAZDAのツリーを伸ばし、ユウウツな天使以降は「RX-8 Type S(SE3P)を買ってクリアした。
チューニング
車選びと同様だが、POWERUNIT、EXAUST、INTAKE、TRANSMISSIONに力を入れ、加速で負けないマシンを作るのが最優先。
特に、早めに湾岸線などの直線が長いルートが開放されるため、非力なマシンだとそもそも勝負にならない。
TUNE
チューニングで取ったPOWERUNIT、EXAUST、INTAKE、TRANSMISSIONから育成。タイヤも足りなくなってきたら取って、ボスの頃には全部最大に。
SETTING
ALIGNMENTでRIDE HEIGHTを前後最低にするとクイックな乗り味に。あとはいじらんでもいいのでは?って感じ。
TRANSMISSIONがかなり重要。C1ならFINALを右寄り(加速重視)に、湾岸なら左寄り(最高速重視)にするなどして調整。
レースのコツ
負けちゃう人向け
- ミドルタイヤでいい
- AT(オートマ)でいい
- 敵車をストレートで抜くときは、敵前方に他の車がいない時に。ライバルが車を避けようとする動きで壁に挟まれて死ぬことがよくある
- コーナーで抜くときはインからライバルを壁にして抜く
- スタートダッシュでナイトロを炊いて抜けないか試す
- 抜かれないようにブロックする
- 何度も挑戦すると交通事情等で敵がミスることがある
シングルプレイのPCゲームとしての可能性
感想としては、Unreal Engine 5で作られている(とバージョン情報から予想される)点は高評価だ。
グラフィックはほどほどだが、特段不満はないし、ハイスピードなレースゲームとしては動作の軽快さを優先している作風だと思う。PCユーザーの裾野を広げる意味でも、このくらいの負荷だと多くのPCで遊べるだろう。
DLSS3に対応している点も評価点だ。RTX 40シリーズ以降のグラフィックボードならフレーム生成も可能であり、より高いフレームレートでプレイできる。
ユーザーが期待する通りのものを作っている印象だが、シングルプレイヤーゲームであり、マルチプレイで競い合う要素はない現状では、正式版でゲームのリプレイ性やボリュームをどの程度増やせるのかは悩みどころだ。
アーリーアクセスでは、レースゲーがある程度できるプレイヤーなら10時間くらいあれば最終ボスクリアまでは行けてしまうだろう。(216体いるライバルのうち、2体は時間をかけたやりこみ用になっており、それは除く)
アーリー以降に敵が増えて、それを倒すだけ倒して、50時間くらい…というのもあり得るラインだ。それくらい遊べれば十分元は取れると思う。
逆に、マルチに対応しないメリットもある。MODだ。
筆者はオフライン・シングルプレイゲームを遊んだあと、MODを入れて楽しむことが少なくない。
本作においてもクリア後は、Unreal Engine製ゲームをVR化する「UEVR」での動作を試した。
本作には正式なインテリア視点はないが、簡易的なインテリアは用意されているため、カメラ位置を調整することでVRドライブやレースを楽しめた。
もちろん、UEVRのような外部ツールは公式にはサポートされておらず、使用に際しては自己責任が求められる点は念を押しておきたい。当サイトとしても特に使用を推奨・保証するものではない。
ただ、VR化はコスト面でも公式に行われることはないだろうから、個人的にはこのレベルでも十分ゲーミングPCで出してくれたメリットを味わえたと思っている。例えるなら「鍋の後に入れる〆のうどん」といったところ。
© Genki
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