PCの電源はどこがどうして壊れるの?
2020/03/08
PCの電源で最も気になるのは「故障」ではないでしょうか。
何故電源が故障するのか、どこが故障するのかについてまずは知っておきたいところです。
Contents
電源は「コンデンサ」が消耗する
電源で故障しやすいのは「コンデンサ」です。
コンデンサは「一旦電気を貯めておく場所」として使われ、寿命があります。
アルミ電解コンデンサーの寿命や劣化
電源内に組み込まれているメインのコンデンサは「アルミ電解コンデンサ」というものです。
液体が含まれており、電源内で壊れやすい部品です。
電源の使用部品の中で、最も寿命の短い部品の中にアルミニウム電解コンデンサがあります。
(中略)アルミニウム電解コンデンサの寿命とは、静電容量が許容値を下回ったり、誘電正接(tanδ)が大きくなったり、漏れ電流が大きくなった状態をいいます。
https://www.cosel.co.jp/technical/qanda/a0023.html
つまり、アルミ電解コンデンサが寿命に近づいて劣化してくると、蓄えられる静電容量が下回ることがあるということです。
アルミ電解コンデンサはどうやって劣化する?
電源ユニットを利用して電源ユニット内の温度が上がるとコンデンサは劣化しやすくなります。
アルミ電解コンデンサは中に電解液を含んでいますが、利用によって電解液が外部に拡散してなくなっていくので、寿命があるのです。
「10℃2倍則」や「アレニウスの法則」によって温度が10℃高いと寿命が半分になるというのが基本設計の考え方です。
電源の使用率=PCのパーツの使用率が高くなれば温度が上がります。
温度が上がると寿命が短くなるため、PCの使用率が高い状況では電源が劣化しやすいと言えます。
また、電源やPC自体のエアフロー(空冷効果)が高い設計になっていれば、同じ使用率でも熱を逃がしやすく、温度上昇を抑えることが出来るでしょう。
アルミ電解コンデンサが劣化するとどうなる?
アルミ電解コンデンサが劣化すると電源の容量が少なくなってPCが突然再起動したり起動しなくなったりすることがあります。
誘電正接が大きくなるということは、電気の変換ロスが発生し、熱になりやすくなります。
つまり、ますます電源付近が発熱して壊れやすくなるということです。
これはまさに電源ユニット的にも寿命と言っていいでしょう。
アルミ電解コンデンサは寒いと容量が減る
部屋が寒いと電源内のアルミ電解コンデンサの静電容量が少なくなり、電気を貯めておく量が著しく減るので電源としての機能を発揮しにくくなります。
アルミ電解コンデンサの各特性には温度依存性があります。
これは使用している電解液の性質によるもので、特に低温域において著しい静電容量の減少、等価直列抵抗(ESR)及び損失角の正接の増加をみることがあります。
その理由は、低温域において電解液の粘度、及び抵抗の増加によりイオンのモビリティが低下する為です。
図3.5に静電容量、図3.6に損失角の正接、図3.7に漏れ電流の温度変化グラフを示します。http://www.rubycon.co.jp/products/alumi/pdf/Performances.pdf
※強調は当サイトによる
「冬の朝、PCが正しく起動しない」「冬場になって再起動するようになった」
こういった場合は、電源付近の温度が低く、アルミ電解コンデンサの静電容量が少なくなったことによる可能性があります。
しかしながら、図を見ても分かる通り0℃付近でもコンデンサの静電容量低下は5%程度に留まっています。
5%の損失で起動しにくくなるということは、コンデンサが全体的にへたっている可能性も十分あります。
もちろん、動作時の室温がそれほど低温でもないのにトラブルが頻発する場合は、電源の寿命が考えられます。
高価なコンデンサ「アルミ固体電解コンデンサ」
コンデンサは2箇所に搭載されますが、よりPC内部に近い「2次側」の負荷が高いです。
2次側に「固体電解コンデンサ」を使っているモデルはより信頼性が高いと言えます。
固体なので液漏れや膨張の心配がありません。
「じゃあ1次側も固体にすればいいじゃないか」と思うところですが、固体コンデンサは容量が低く単価も高く、電源の1次側には使いづらいところがあるようです。
電源のファンも故障しやすいパーツ
電源ユニットにはファンがついています。
ファンは駆動部品(モーターで回る部品)であるため、故障しやすいです。
ファンが正しく動かなくなると電源内の冷却が追いつかなくなるため、熱で劣化しやすいアルミ電解コンデンサも冷やすことができなくなり、やがて故障します。
このため「ファンについても力を入れていますよ」というメーカー情報は参考になると思います。
不安定な電力による不具合
電源に対しての電力供給が不安定になると、PCもトラブルが発生することがあります。
特に100Vをタコ足配線などで利用している場合、電源ユニットに対して安定した電力供給を行うことが出来ないことがあります。
電圧が多少不安定な状況でも運用に耐えることが良い電源の一つの判断基準です。
突入電流によるPC内部基盤の故障
PCの電源投入時には「突入電流」が発生します。流れようと圧力がかかっている水に対し、一気に弁を開けると最初は勢いが良いですよね。その理屈です。
PC電源も突入電流発生を防止するために「サーミスタ」などの防止回路を用いて、内部を傷つけないように保護することができます。
ただし、サーミスタ等の部品がどれくらい使われているかは製品仕様上からは読み取れない部分です。
ここまでのまとめと電源における対策
- 電源(特にアルミ電解コンデンサやファン)には寿命がある
- 電源の中はゲームなどをしていると熱くなる
- 熱くなるとコンデンサが劣化する
- 劣化を防ぐためにファンも回るのでファンの故障率も上がる
- 電力の供給が不安定になった時に不具合を発生する場合がある
というわけです。
これらに対して考えられる対策は
- 高品質な電解コンデンサを利用する(耐熱温度が高い日本製105℃品、固体電解コンデンサなど)
- 放熱性の良い設計にし、ファンを余り回さなくて良いようにする
- ファンの品質を上げる
- 保護回路を充実させる
などです。これらの対策が充実している電源は信頼性の高い電源と言えるでしょう。
製品保証が長い電源の例
保証が長ければ壊れないのか?というとそうとは限りませんが、少なくともそれくらいの品質を持っていると言えるでしょう。
Antec
Corsair
Seasonic
良質な電源が選べるBTOは?
ドスパラです。え?意外です?
ドスパラではカスタマイズ画面で、電源グレードを選択できます。
ここでCORSAIRやSeasonicを選ぶことが出来るので、電源寿命が気になる方は良いと思います。
ただし本体保証がありますので、私は正直そこまで気にしなくても良いと思っています。
CPU:Intel Core i9-9900KF
GPU:GeForce RTX 2080 Ti
メモリ:16GB
ストレージ:1TB NVMe SSD
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