Baldur’s Gate 3のキャラデザインが好きな件について

「バルダーズ・ゲート3(Baldur's Gate 3)」はSteamでも非常にプレイヤー数が多いタイトルだ。何が人気なのかが気になったのでちょっとプレイしてみている。

私は原作となるD&Dの世界観も全然知らないため、その辺についてはがっつり省いて、個人的に面白かった点をピンポイントに書いていこう。

魅力はいろいろある中、一つ挙げたいのが「わざと嫌悪感を煽る異種族のキャラデザイン」である。

「好かれたがるＲＰＧ」とは対照的なデザイン

キャラが可愛いRPGはたくさんあるが、その可愛いが押し付けになることがある。

例えば、どれだけプレイヤー自身がヒロインを嫌いであろうと、主人公キャラは彼女を見捨てず、想い続けるなどだ。

その時、プレイヤーの気持ちは置いてきぼりであり、今一つ入りきれないこともある。

「お互い仲良し」など前提の気持ちが決まってしまっていると、ロールプレイは難しい。

また、美麗すぎるキャラに対して、負の感情移入が難しいという人もいるだろう。

そんな感じの予定調和のゲームはもういいや、という人は、バルダーズ・ゲート3に魅力を感じるかもしれない。

キャラの好き嫌いがゲーム内で完全に自由であり、物語もプレイヤーの選択で変わっていくからだ。

バルダーズ・ゲート3の主なヒロイン2人を見てみよう

ゲーム序盤に「ギスヤンキ」という種族の女性と敵対的に出会う。船からの脱出のため、旅をともにすることになる。

異種族の中でも見た目のクセが強い。彼女はプレイヤーに対して高圧的、支配的な物言いをするので、メタな言い方になるが「嫌われキャラ」としてデザインされていると思う。

それでも長く旅をともにできる選択肢もあるため、PC版では彼女を美形にするＭＯＤもあるが…それはちょっと待った、である。

見た目が気に入らないからと言ってすぐに美化するのは、バルダーズ・ゲート3に限ってはもったいない。

見た目や言動の違和感が限界となって切り捨てるか、「個」として受けられるまで、とりあえずそのまま旅を続けてほしいのである。

「嫌いなものは嫌い」で良いゲーム

バルダーズ・ゲート3の物語は、怪しげな種族によって主人公たちの脳に寄生生物のようなものをインプラントされてしまうところから始まる。

そのままでいると化け物になってしまう可能性があり、危険な状態だ。

そこで、同じ境遇の人(NPC)が見つかっていく。治療のために仲間になりそうなＮＰＣはどんどん受け入れる人が多いだろう。

プレイヤーは仲間を嫌いだと思ったら、そのまま切り捨ててしまうこともできるのだ。過激な方法として文字通りの斬り捨ても可能である。めちゃめちゃ重要そうなキャラも斬り捨て御免できてしまう。

もちろん、逆にアピールしていくことも可能だ。ギスヤンキとも関係を深め続けると、より深い関係に至ることもある。もちろんお断りもできるし、迫られたことにキレて敵対してしまうこともできる。

親密なシーンが目的のゲームではなく、あくまでも極限状態の生活の中、信頼関係を示すフレーバーの一つとして機能している印象だ。

そういった親密なシーンで異種族の自分に心を許す時、彼女の顔があってこそ、異種族であることを強く意識できる。

もっと人間に近いと「この子はただの人間だ」と本能的に錯覚してしまい、せっかくの異種族体験が薄くなってしまう。そのぎりぎりのラインを考えた優れたキャラデザインだなあ、と思った。

ちなみに2人目に出会う人物はハーフエルフの女性である。ギスと対立気味。

今回はとりあえず女性枠を紹介したが、男性もいろいろ癖の強いキャラが多い。いずれにせよ主要キャラは敵対できるほか、プレイヤー操作の不慮の事故で死んでしまうことも少なくない。「運命を受け入れる」という観点のロールプレイで言えば、仲間が死んだり、興味本位で倒してみたら、ロールバックせずにそのまま進めてるのも味わい深いと思う。

PS5で2023年12月に日本語版が出るが、PC版も日本語に対応するそうだ。現状では公式な日本語版はなく、有志の日本語化MODがある。

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